樹木葬って聞いたことあるけれど
一体どういうものなのかしら?
注目を集めつつある樹木葬。
今この記事を見ているあなたも、樹木葬という言葉自体は聞いたことがあるのではないでしょうか。
この記事は、樹木葬について詳しく知りたい、樹木葬を自分やご家族のお墓として検討したいけれどよくわからない、というあなたに向けて、樹木葬のメリット・デメリットについて解説しています。
この記事を最後まで読めば、将来、ご自身やご家族が亡くなってしまう際に備えて、樹木葬を選択するべきかどうか判断することができるでしょう。
もくじ
1.樹木葬とは石ではなく樹木を墓標にすること
単に樹木葬と言っても、遺骨の収蔵方法や墓標の割り当て方に種類があります。
そのため、樹木葬とは一体なんなのか混乱してしまうかもしれません。
樹木葬とは、一言で表せば、石ではなく樹木を墓標とする埋葬方法のことです。
それでは、遺骨の収蔵方法や埋葬方法について、その種類を見ていきましょう。
1-1.遺骨の収蔵方法
遺骨の収蔵方法は、遺骨を土に還すか還えさないかという点で2種類あります。
粘土や布、和紙など自然に還る素材で作られた骨壺を使用して埋葬したり、遺骨を粉状にして直接土に埋葬すると、遺骨を土に還すことができます。
一般的な石のお墓のように、骨壷や骨袋に入れたまま埋めると、遺骨は土に還りません。
どちらの方法で埋葬するのかは、霊園や墓地に確認する必要があります。
1-2.墓標の割り当て方
一本の木をどのように墓標として割り当てるか、という点においても種類があります。
詳しく見ていきましょう。
1-2-1.個別型
個別型は、個人・夫婦・家族などの世帯の単位ごとに区画が分けられており、1本の木をその中心に植えて遺骨を埋葬します。
そのため、遺骨を区別して埋葬することができます。
1-2-2.合祀型
合祀型は、墓標となる木の下に複数の方の遺骨をまとめて一緒に埋葬します。
そのため、遺骨を埋葬した場所が具体的に特定できないので、後になって別のところに遺骨を移そうと思っても、遺骨を取り出すことは不可能です。
遺骨を個別に埋葬するものではないので、毎年の管理費が必要ないことが多く、費用が安くなります。
1-2-3.集合型
集合型は、個別型と合祀型の中間のような埋葬方法です。
墓標となる木を中心に植え、合祀型と同じくその周囲に複数の方の遺骨を埋葬します。
合祀型と違う点は、土の下の区画を個別に分けているため、埋葬した場所がわかりやすいことです。
遺骨を埋葬した場所が特定できる合祀型と考えるとわかりやすいでしょう。
埋葬方法 | 木の割り当て | 遺骨した場所の特定 |
---|---|---|
個別型 | 特定の人 | できる |
合祀型 | 不特定多数 | できない |
集合型 | 不特定多数 | できる |
樹木葬と一口に言っても色々と種類があるのね。
どのタイプが自分や自分の家族に合っているのか
よく考える必要がありそうね。
2.樹木葬のメリット
樹木葬のメリットは大きく次の4点です。
- 1.費用が安い
- 2.宗教・宗派を気にしなくて良い
- 3.お墓の継承者を必要としない
- 4.自然に還ることができる
それでは詳しく解説していきましょう。
2-1.費用が安い
樹木葬は、一般的な石のお墓と違って、個別に墓石を立てる必要がないため、墓石のための石代や設置工事費がかからず、費用が安く済むというメリットがあります。
相場はだいたい次のようになっています。
墓石代 | 永代使用料 | 管理費 | |
---|---|---|---|
石のお墓 | 平均150万円 | 約30万円 | 年間2万円 |
樹木葬
個別型 |
不要 | 50万円
〜100万円 |
年間2万円 |
樹木葬
合祀型 |
不要 | 10万円
〜20万円 |
年間2万円 |
樹木葬
集合型 |
不要 | 20万円
〜100万円 |
年間2万円 |
一般的な相場を示したものであり、実際の費用とは異なることがあります。
地域や施設によっても異なりますので、ご希望の霊園や寺院に問い合わせてみましょう。
墓石代が必要ない分
石のお墓と比べて随分と安くなるのね
2-2.宗教・宗派を気にしなくて良い
樹木葬は、宗教宗派を問わずに埋葬できます。
納骨式や宗教にあわせたしきたりもありません。
一般的なお墓では、家族に宗教や宗派が違う人がいると同じお墓に入ることができないこともあります。
樹木葬では、利用者の宗教や宗派が問われることはないことが多いので、
例えば夫妻で宗教や宗派が違っていても同じお墓に入ることができます。
ただし例外もあるので、ご希望の霊園や寺院に確認をした方が良いでしょう。
夫の家系はキリスト教で
私の家系は仏教だけれど
樹木葬なら夫と同じお墓に入ることができるわね
2-3.お墓の継承者を必要としない
従来の石のお墓では、お墓の継承者が必要になります。
お墓の継承者になると大変ですし、少子高齢化社会でお墓の継承者になれる人がみつからないというご家庭が多いでしょう。
樹木葬ではお墓の継承者を必要としません。
継承者がいなくて従来のお墓を利用できない方も、樹木葬なら安心して利用できるでしょう。
一人娘が嫁いで継承者に困っていたけれど
樹木葬なら継承者も必要ないのね
2-4.自然に還ることができる
遺骨の収蔵方法によっては、骨を自然に還すことができます。
「自然に還りたい」という自然志向を持っている方は、樹木葬で、粘土や布、和紙など自然に還る素材で作られた骨壺を使用して埋葬したり、遺骨を粉状にして直接土に埋葬する方法を選ぶと良いでしょう。
3.樹木葬をしたい理由は遺族への配慮と自然志向
京都市「深草墓園 樹木葬墓地計画アンケート調査」 2015年によれば、
樹木葬をしたいと考えている人の理由は次のようになっています。
親族への負担、継承者の不在、経済的負担の問題と同じくらいに、 自分の自然への志向性が見られる。
引用:http://hdl.handle.net/11173/2436
「樹木葬墓地の多様化とその意味と背景そして共同墓の進展」槇村久子
樹木葬を利用したい人は、親族に負担をかけたくなかったり、頼れる親族がいない人や、
お墓にあまりお金をかけたくない人の他に、
自然に還りたいという自然志向の人にも人気があるようです。
娘に負担はかけられないし、
貯金はお墓よりも家族で旅行することに使いたいわ
夫はよく「死んだら自然に還りたい」と言っていたわねえ
樹木葬、うちにとっては良いことばかりね
4.樹木葬のデメリット
ここまで樹木葬の良い点について見ていきましたが、
樹木葬のメリットは大きく次の2点です。
- 1.契約期間が決まっている
- 2.遺骨を取り出せないことがある
4-1.契約期間が決まっている
個別型や、集合型の場合、十三回忌や三十三回忌など、一定の期間を過ぎると、
合祀型になる場合もあります。
霊園によってもそのあたりのルールは異なっているので予め確認しておく必要があります。
4-2.遺骨を取り出せないことがある
遺骨を直接土に埋葬したり、合祀型で埋葬した場合、
後から埋葬方法を変えようとしても、
遺骨を取り出すことができません。
まとめ
樹木葬についてよくわかったわ
石のお墓にはない良い点がたくさんある一方で
細かい点に関しては霊園や寺院に確認した方が良さそうね
さっそく問い合わせてみようかしら
樹木葬は、継承者が不要であったり、宗教宗派を気にしなくて良かったり、現代の流れにマッチする埋葬方法です。
改めて整理すると、樹木葬はこんな方にオススメです。
- お墓にかける費用を安く抑えたい方
- 家族内で宗教・宗派が異なる人がいる方
- 親族にお墓のことで負担をかけたくない方
- お墓の継承者が見つからない方
- 「死んだら自然に還りたい」という自然志向を持っている方
一方で、契約期間が決まっていたり、遺骨を取り出せなかったり、といったデメリットや、霊園や寺院によって細かい違いがあります。
お近くまたはご希望の霊園や寺院に、樹木葬について問い合わせてみましょう!