「相続対策として財産を孫に生前贈与したい」
「できるだけ贈与税をかけたくない」
このようなことを考えている方に向けて書きました。
「相続対策として孫へ財産を贈与したくて、できるだけ贈与税をかけたくない」という方に向けて3つの方法をご紹介します。
さらに、「孫へ財産を相続する際の5つの注意点」についてもご紹介します。
孫へ財産を生前贈与しておこうと考えているあなたの助けになれば幸いです。
もくじ
1.孫への贈与を非課税にする3つの方法
「贈与税を取られずに孫へ生前贈与する方法はあるのでしょうか」
相続対策として、可愛い孫に生前贈与しようという方のために、贈与税を取られずに済む方法を3つご紹介します。
- 基礎控除額110万円の範囲内で贈与する
- 教育資金の贈与の非課税枠1500万円の制度を利用する
- 住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を利用する
1-1.基礎控除額110万円の範囲内で贈与する
贈与税には毎年110万円の基礎控除額があります。
贈与を受ける側について、年間110万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。
例えば、孫3人に対してそれぞれ年間110万円ずつ贈与して、それを5年間続けるとします。
この場合、1650万円を贈与税が取られることなく孫の代に引き継ぐことができることになります。
- 贈与を受ける側1人につき年間110万円までの贈与なら非課税
1-2.教育資金の贈与の非課税枠1500万円の制度を利用する
教育資金の一括贈与という制度のおかげで、贈与を受ける側1人につき1500万円までなら、教育資金に使うことを条件に贈与税が非課税になります。
ただし贈与を受ける人の年齢は30歳までの子どもまたは孫に限られます。
さらに、2021年3月末までに専用口座に入金された金額のみという条件もついています。
教育資金として認められるのは、学校関係のもので言えば、入学金・授業料・施設設備費や、学用品の購入費や修学旅行費など学校や指導者を通じて購入したものなどが対象となります。
学校以外のもので言えば、教育サービス(塾・予備校など)の費用や習い事、留学のための費用などが対象になります。
専用口座を用いて管理されるので、教育費以外に使うことは許されません。
- 教育資金として1500万円までの贈与であれば非課税
- 教育費以外の用途に使うことはできない
1-3.住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を利用する
住宅取得等資金の贈与の非課税の特例は、2021年12月31日までであれば、親や祖父母から自宅の新築、取得または増改築等のための資金の贈与を受けた場合、決められた限度額まで贈与税が非課税になるというものです。
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
2019年4月1日~
2020年3月31日 |
3,000万円 | 2,500万円 |
2020年4月1日~
2021年3月31日 |
1,500万円 | 1,000万円 |
2021年4月1日~
2021年12月31日 |
1,200万円 | 700万円 |
ただし、贈与を受ける側に関して条件があり、例えば、贈与を受ける年の1月1日の時点において20歳以上であることが条件として含まれます。
細かい条件に関しては国税庁のHPをご覧ください。
2021年12月31日までは、住宅取得等資金の贈与の非課税の特例が使える
2.孫への贈与をする際の5つの注意点
「孫へ贈与をする際に気をつけるべきことはあるのでしょうか」
ここから孫への贈与をする際の注意点を5つご紹介します。
- 贈与契約書を作成しておく
- 教育費以外のことに使われてしまうことに注意
- 孫が遺留分減殺請求されない程度の贈与を
- 亡くなる3年前の贈与は相続税の対象になる
- 住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を利用すると小規模宅地等の特例が利用できない
2-1.贈与契約書を作成しておく
「あげたつもりだった」では贈与は成立したことになりません。
贈与したつもりになっていても、それを証明できないと、相続が発生した時に贈与とみなされず相続税が発生してしまいます。
例えば孫名義の口座を勝手に作っておき、そこに財産を振り込んでおいたままでは、贈与したことにはなりません。
相続が開始した時に孫名義の口座に入っている財産に関しても相続税がかかってしまうということになります。
贈与は贈与する側とされる側の双方の同意があってはじめて成立します。
税務署の調査が入った時に贈与があったことを証明できるように贈与契約書を作成しておいた方が良いです。
また、孫名義の口座も、孫が自由に使うことのできない口座だと、贈与とみなされないことがあるので、孫が自由に使える口座に振り込むようにしましょう。
- 「あげたつもり」では贈与にならず相続税がかかる
- 孫が自由に使える口座に双方の同意のもと振り込む
2-2.教育費以外のことに使われてしまうことに注意
教育資金の一括贈与を利用しようと思って、孫に教育資金を贈与したが、教育以外のことに使い込まれてしまうことに注意しましょう。
教育目的のために使ったということが示せる領収書がないと、贈与税を取られてしまうので、教育費以外に使ったことをごまかすことはできません。
教育費以外に使った分の費用にかかる贈与税は、孫が支払う必要がありますが、孫に納税資金がない場合、贈与税の連帯納付義務と言って、贈与した側が贈与税を支払わなければ無くなります。
- 孫が教育資金以外に使ってしまわないように注意する
- 贈与した側が納税義務を負ってしまうケースもある
2-3.孫が遺留分減殺請求されない程度の贈与を
財産のあまりに多くを孫に渡し過ぎた場合、相続時に孫が、他の法定相続人から遺留分減殺請求される恐れがあります。
孫が遺留分減殺請求をされてしまわない程度の贈与に抑えるようにしておきましょう。
遺留分減殺請求について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
遺留分とは
遺留分減殺請求
2-4.亡くなる3年前の贈与は相続税の対象になる
相続が発生した際、孫が代襲相続人となると、相続開始3年以内の孫への贈与は、相続税の対象になります。
「贈与したら3年以内に死なないようにしましょう」と言っても何が起こるかわからないのが世の常です。
対処法としては、出来るだけ早め早めの行動を心がけましょう。
- 孫が代襲相続人となると相続開始3年以内の孫への贈与は相続税がかかる
2-5.住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を利用すると小規模宅地等の特例が利用できない
小規模宅地等の特例と言って、被相続人と一緒に住んでいた土地を相続した場合、330㎡までの土地であれば、相続税が80%減額されます。
住宅取得等の資金の贈与の非課税の特例を利用してしまうと、小規模宅地等の特例が使えなくなります。
- 住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を利用すると小規模宅地等の特例が利用できない
3.制度を活用して上手に孫へ贈与しましょう
孫への贈与を非課税にするために3つの方法をご紹介しました。
それぞれの制度を活用して上手に孫へ生前贈与してください。
5つの注意点についても理解しておき、策に溺れてしまわないように気をつけましょう。
4.日本法規情報「相続サポート」プログラム
孫への贈与の他、相続周りの問題はたくさんあります。
相続周りの問題に直面したら1人で抱え込まず、すぐに専門家に相談しましょう。
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