高齢者の生活を支える年金制度。
現役世代が支払った社会保険料で高齢者を支えています。
実は年金は受け取る時に税金がかかるということをご存知でしょうか。
この記事では、年金にかかる税金について、その計算方法や控除額などについて解説します。
また、節税しながら老後に向けた資産づくりをする方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
もくじ
1.老齢年金には所得税と住民税がかかる
老齢年金は雑所得に分類され、所得税や住民税が課せられます。
計算方法としては、受給額から「公的年金等控除」を差し引いて、税率5.105%をかけたものが所得税になります。住民税に関してはお住まいの自治体によって異なります。
では、公的年金等控除はどれくらいの金額なのでしょうか。
公的年金等控除は、受給者の年齢や年金収入額によって異なります。以下の表を参照ください。
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下 | |||
年金受給者の年齢 | 公的年金等の収入金額の合計額(a) | 割合(b) | 控除額(c) |
65歳未満 | 60万円まで | 所得金額はゼロ | |
60万1円から129万9,999円 | 0% | 60万円 | |
130万円から409万9,999円 | 25% | 27万5,000円 | |
410万円から769万9,999円 | 15% | 68万5,000円 | |
770万円から999万9,999円 | 5% | 145万5,000円 | |
1,000万円以上 | 0% | 195万5,000円 | |
65歳以上 | 110万円まで | 所得金額はゼロ | |
110万1円から329万9,999円 | 0% | 110万円 | |
330万円から409万9,999円 | 25% | 27万5,000円 | |
410万円から769万9,999円 | 15% | 68万5,000円 | |
770万円から999万9,999円 | 5% | 145万5,000円 | |
1,000万円 | 0% | 195万5,000円 |
参考:国税庁
公的年金等控除額は
(a) × (b) + (c)
で算出されます。
例えば、65歳未満の方で公的年金等の収入額の合計が200万円の場合、表の値を読みとり
200万円 × 25% + 275,000円
で求められます。
この年金等の収入額から公的年金等控除を差し引いた額が公的年金等に係る雑所得の金額(課税所得)となるわけですが、公的年金等控除を1度求めてからさらに差し引くというのは面倒くさいですよね。
以下の表を見て(a) × (b) – (c) を計算すれば、一発で公的年金等に係る雑所得の金額を求めることができます。
公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下 | |||
年金受給者の年齢 | 公的年金等の収入金額の合計額(a) | 割合(b) | 控除額(c) |
65歳未満 | 60万円まで | 所得金額はゼロ | |
60万1円から129万9,999円 | 100% | 60万円 | |
130万円から409万9,999円 | 75% | 27万5,000円 | |
410万円から769万9,999円 | 85% | 68万5,000円 | |
770万円から999万9,999円 | 95% | 145万5,000円 | |
1,000万円以上 | 100% | 195万5,000円 | |
65歳以上 | 110万円まで | 所得金額はゼロ | |
110万1円から329万9,999円 | 100% | 110万円 | |
330万円から409万9,999円 | 75% | 27万5,000円 | |
410万円から769万9,999円 | 85% | 68万5,000円 | |
770万円から999万9,999円 | 95% | 145万5,000円 | |
1,000万円 | 100% | 195万5,000円 |
参考:国税庁
年金の他にも収入がある場合は、それらと合算した上で基礎控除や配偶者控除などの控除を差し引くことになります。
なお、年金以外にも収入がある場合は確定申告が必要です。
より正確には、公的年金等以外の所得が20万円を超える方や、公的年金等の収入金額の合計額が400万円を超える方は確定申告をする必要があります。
公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下(※1)で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である場合には、所得税及び復興特別所得税の確定申告をする必要はありません。
引用:国税庁
2.障害年金と遺族年金は非課税
大きな怪我や病気で障害を負ってしまった場合、要件を満たしていれば障害年金が支給されます。また、ご家族を残して亡くなってしまった場合、要件を満たしていれば遺族年金がご家族に支給されます。
老齢年金とは異なり、障害年金や遺族年金には税金はかかりません。非課税所得です。

遺族年金は非課税!扶養親族に入ると所得税や住民税・健康保険料が安くなる
3.iDeCoなら節税しながら老後に向けて準備ができる!
年金にかかる税金について解説しました。
ここで、「節税しながら老後に向けて資産づくりをする方法」をご紹介します。
その方法とはiDeCoです。
iDeCoとは、60歳まで掛け金を拠出し続けることで、税制優遇を受けながら老後に向けた積立投資ができるという制度です。
iDeCoは長期投資で、積み立てたお金は60歳になるまで引き出すことができません。
そのため長期投資が苦手だ(長期投資のつもりでもすぐに引き出してしまう)という方でも、確実に老後に向けた投資をすることができます。
iDeCoの魅力は節税効果にありますが、どのような優遇を受けることができるのか紹介します。
3-1.所得税と住民税の控除
拠出した金額分だけ、所得税や住民税の課税所得から差し引くことができます。
毎月拠出できる金額は、加入者の属性によって異なります。以下の表をご覧ください。
条件 | 掛け金の上限 | |
第1号被保険者 | 月6.8万円 | |
第3号被保険者 | 月2.3万円 | |
第2号被保険者 | 企業年金制度がない | |
企業型確定拠出年金に加入 | 月2.0万円 | |
確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入 | 月1.2万円 | |
確定給付企業年金のみ加入 | ||
公務員 |
例えば、会社に企業年金制度がない会社員の場合は、月2.3万円(年間27.6万円)が上限なので、最大27.6円、所得税や住民税の課税所得から差し引くことができます。
3-2.運用益が非課税
運用によって生じた利益に対して課税されません。
通常の運用であれば運用益の20%ほど税金が課されるので、運用益が非課税というのはとてもありがたい制度です。
3-3.受け取る時の控除
年金にかかる税金の計算方法にて登場した「公的年金等控除」はiDeCoに関しても適用されます。
受け取る時に分割して年金と同じように受け取れば「公的年金等控除」が、退職金と同じように一括で受け取れば「退職所得控除」が適用されるのです。
受け取り方を工夫すれば、受け取る時にも税金がほとんどかかりません。
3-4.iDeCoで老後に備える!
このように、iDeCoには3つの税制面での優遇があります。
「年金だけでは老後が不安」
「老後に向けて年金だけに頼らず自分でも努力したい」
といった方はぜひiDeCoを活用しましょう。
運営管理機関(金融機関)を選ぶ際は、運用管理手数料が0円の運営管理機関を選ぶのがオススメです。

iDeCoの始め方!加入資格や始める前に考えるべきことを解説