個人事業主はiDeCoで老後の準備を!メリットや国民年金基金との違いを解説

ideco 個人事業主

人生100年時代と呼ばれる時代が近づくにつれ老後に向けた準備がますます重要になってきています。

自営業・個人事業主の方は公的年金として支給されるのは国民年金だけになるので、国民年金と厚生年金の2種類を受け取ることができる会社員と比較すると将来もらえる年金が少なくなります。

そのため、老後に向けて自助努力することが一層大切です。

老後に向けた自助努力を後押しする制度としてiDeCoというものがあります。

iDeCoは毎月一定の掛け金を拠出して運用することで、老後に向けた資産づくりができるという制度です。

この記事では自営業・個人事業主の方に向けて

iDeCoのメリットは何か

iDeCoの注意点は何か

掛け金の設定について

自営業から会社員に転職するときiDeCoはどうなるのか

国民年金基金と何が違うのか

といったことを解説していきます。

老後に向けた資産づくりを始めようとしている自営業・個人事業主の方のお役に立つことができれば幸いです。

1.iDeCoのメリットは節税効果!

iDeCoに加入する最大のメリットは節税効果があるということです。

ここでは、具体的にどのような節税効果があるのかということを解説していきます。

1-1.所得税や住民税が控除される

iDeCoに加入して掛け金を拠出すると、拠出した金額分だけ所得税や住民税の課税所得から差し引くことができます

老後に向けてつみたて投資をしながら所得税や住民税も減額されると考えると、非常にお得な制度です。

1-2.運用益が非課税になる

運用によって発生した利益に対して課税されないということもiDeCoの特長です。

大したことではないと思われるかもしれませんが、通常の運用だと発生した運用益に対しておよそ20%課税されます。

iDeCoは基本的に長期投資を前提にしているので、少しの運用益でも積もり積もれば大きな差です。

ちなみに運用益が非課税になる制度としてiDeCoの他にも「つみたてNISA」というものがあります。

これらを比較してみましょう。

つみたてNISA iDeCo
いつでも引き出せる 60歳まで引き出せない
年40万円まで 月2.3万円まで(専業主婦の場合)
口座の開設・維持などの手数料なし 口座の開設・維持などの手数料あり

後ほどまた言及しますが、この違いを利用して両者を上手に使い分けると良いでしょう。

1-3.受け取る時にも控除あり

iDeCoは「所得税や住民税が控除される」「運用益が非課税になる」といったメリットがあることを紹介しました。

鋭い方なら「そんなにうまい話ばかりなはずがない。受け取るときに課税されるんでしょう」と考えるかもしれません。

確かに、受け取るときに課税されるのですが、公的年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が、一時金として一括で受け取る場合は「退職所得控除」が、それぞれ適用されて課税される額が小さくなったり、場合によっては税金がかからないこともあります。

自営業の方は会社員と違って「会社から出る退職金」がないでしょうから、一時金として受け取り退職所得控除を適用させると受け取るときにも税金がかからない可能性が高いです。



iDeCo(個人型確定拠出年金)で節税になる仕組みをわかりやすく解説!

2.iDeCoの注意点

節税効果に関するiDeCoのメリットを解説してきました。

ここからは、iDeCoに加入するにあたって注意しなければいけないことを解説します。

2-1.60歳になるまで引き出せない

iDeCoは原則60歳になるまで積み立てた掛け金を引き出すことができません

あくまでも「老後に向けた」資産準備のための制度だからです。

自営業・個人事業主の場合は会社員と比較すると収入が安定しない傾向があるので特に注意が必要です。

iDeCoは60歳になるまで引き出せないお金ですので緊急用のお金はiDeCoとは別で準備しておきましょう。

60歳まで引き出せないことはしばしばデメリットとして紹介されがちですが「魔が刺して長期投資に回しているお金を切り崩して欲しい物を買ってしまう」ということを防いでくれるというメリットとして見ることもできます。

良いか悪いかということではなく「特長を理解して上手く活用する」という風に考えたいですね。

2-2.あくまで「投資」なので元本割れすることもある

iDeCoはあくまでも「投資」なので元本割れすることもあるということにも注意しておきましょう。

長い運用期間中、元本割れしてしまうこともあるかもしれません。

元本割れしてしまった場合は「ドルコスト平均法」という考え方を思い出しましょう。

ドルコスト平均法とは、相場の浮き沈みによらず定期的に一定の金額で購入し続けることで平均の購入コストが比較的安くなるという考え方です。

「今相場が下がっていても長期的に見れば底をついてから価値が上がること」が前提の考え方にはなりますが、だからこそ元本割れしても慌てない心が必要になります。

3.iDeCoの掛け金額について

iDeCoのメリットと注意しなければいけないことについて理解していただけたと思います。

ここでは掛け金の設定について解説します。

3-1.掛け金額の上限は月額6.8万円

iDeCoでは、加入者によって毎月拠出できる掛け金に上限が設定されています。

自営業者・個人事業主(第1号被保険者)の掛け金の上限は月6.8万円までです。

次の表をご覧ください。

条件 掛け金の上限
第1号被保険者 月6.8万円
第3号被保険者 月2.3万円
第2号被保険者 企業年金制度がない
企業型確定拠出年金に加入 月2.0万円
確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入 月1.2万円
確定給付企業年金のみ加入
公務員

第1号被保険者の方の掛け金の上限は他と比べて大きく設定されています。

厚生年金がある会社員などと比較すると、国民年金しか支給されない自営業はより一層老後に向けて自助努力しなければいけないことが掛け金の上限の違いにも表れています。

3-2.掛け金はできるだけ大きく!しかし無理はしないこと

掛け金はできるだけ大きく設定することをオススメします。

なぜできるだけ大きく拠出した方が良いのかというと「節税のメリットを最大限に活かすため」「手数料負けの可能性を下げるため」です。

それぞれについて解説します。

「節税のメリットを最大限に活かすため」というのは、iDeCoは拠出した金額分、所得税や住民税の課税所得から差し引くことができるので、拠出した金額が大きい方が控除できる所得税や住民税の額も大きくなるということです。

「手数料負けの可能性を下げるため」に関してはピンと来ない方もいらっしゃるかもしれないので詳しく解説します。

iDeCoは少なくとも毎月171円の手数料がかかります。

年間に変換すると2,052円の手数料です。

iDeCoは月の最低拠出額は5,000円となっていますが、月に5,000円の拠出だと、年3.4%以上の利回りで運用できないと、赤字になってしまいます。

これが「手数料負け」というものです。

もし月1万円拠出すれば、年1.7%以上の利回りで運用できれば赤字になりません。

このように、拠出額をなるべく大きく設定すれば、手数料負けする可能性を下げることができます。

「節税のメリットを最大限に活かすため」「手数料負けの可能性を下げるため」の2つの観点から拠出額はできるだけ大きく設定しましょう。

しかし、無理をしてはいけません。

iDeCoでの拠出が原因で生活が苦しくなってしまうようでは本末転倒です。

特に自営業・個人事業主の場合は、会社員と比べて収入が安定しない傾向があるので、iDeCoとは別に不測の事態に備えた貯金を作っておく必要があります。

無理のない範囲内で、できるだけ大きく掛け金を設定しましょう

4.自営業から会社員に転職する場合はどうする?

「現在、自営業・個人事業主だが将来的には会社員に転職する」ということを考えている方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、iDeCoに加入している人が自営業から会社員に転職する場合どうなるのかということを解説します。

4-1.iDeCoに継続して加入する場合

転職先の会社に企業年金制度がない場合や、企業型確定拠出年金の規約でiDeCoへの加入が禁止されていない場合は、iDeCoに継続して加入することが可能です。

手続きとしては、運営管理機関に「加入者登録事業所変更届」と転職先の「事業主証明書」を提出する必要があります。

掛け金の上限が変わることによって、拠出額を変更する場合は、運営管理機関に提出する「加入者登録事業所変更届」にそのことを記入しなければいけません。

また、年金の被保険者種別が変わるので「加入者被保険者種別変更届」を提出する必要もあります。

国民年金の被保険者種別、又は登録事業所の変更の手続きが必要です。
第1号加入者又は第3号加入者の方が厚生年金の適用事業所に就職した場合は、国民年金の種別が第1号被保険者又は第3号被保険者から第2号被保険者に変わりますので、「加入者被保険者種別変更届(第2号被保険者用) (K-010B) 」に、就職(転職)先が記入した「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書 (K-101A)」を添付して、運営管理機関にご提出ください。
第2号加入者の方が厚生年金の適用事業所に転職した場合は、「加入者登録事業所変更届 (K-011)」に、転職先が記入した「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書 (K-101A)」を添付して、運営管理機関にご提出ください。
引用:iDeCo公式サイト

4-2.転職先の企業型確定拠出年金に加入する場合

転職先の会社に企業型確定拠出年金に加入する場合は移換手続きをしてください

「移換」というのはiDeCoで積み立てた自分の資産を別の運営管理機関に移し換えることです。

手続きの方法は、新規加入の手続きと基本的には同じです。

まずは移換前の運営管理機関に対してiDeCoの資格喪失手続きを行いましょう。

そして移換先の運営管理機関に「運営管理機関変更届」などの書類を提出しましょう。

移換する場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者の資格を喪失することになりますので、速やかに「加入者資格喪失届 (K-015)」に、加入者の資格を喪失した理由及び喪失年月日を証明する書類を添付して、運営管理機関にご提出ください。 この場合、個人型確定拠出年金の資産を就職(転職)先の企業型確定拠出年金に移すことができます。詳細な手続きは、就職(転職)先の人事・労務等のご担当の方にご確認ください。
引用:iDeCo公式サイト

iDeCoの資格喪失手続きを忘れると、本来必要のない費用を負担させられてしまいますので注意しましょう

企業型確定拠出年金に加入しiDeCoの加入資格を失っていても、iDeCoの加入資格喪失の手続きが遅れるとその間にもiDeCoに掛け金が拠出されてしまいます。

加入資格がない期間の掛け金は後で全額払い戻し(還付)されます。

このとき還付手数料として国民年金基金連合会に1,048円、事務委託先金融機関(信託銀行)に440円、それぞれ還付される金額から差し引かれる形で支払わなければいけません。

たかだか1,488円と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、手続きすれば引かれずに済むお金なので、iDeCoから企業型確定拠出年金へ移換する際は忘れないように気をつけましょう。

当該月のiDeCoの掛金を加入者にお返し(還付)する必要が生じた場合、手数料として還付金のうちから1,048円を差し引きます。
引用:iDeCo公式サイト

転職先の企業型確定拠出年金と併用してiDeCoに加入しようと思っている方は、ぜひこちらを合わせてご覧ください。



iDeCoと企業型確定拠出年金を併用するメリットや注意点を解説!

5.国民年金基金との比較

第1号被保険者に向けてはiDeCoの他にも国民年金基金という制度もあります。

第1号被保険者は任意で加入することができます。

ここでは国民年金基金との違いや併用について解説します。

5-1.iDeCoと国民年金基金との違いを比較する

国民年金基金とは掛け金を納めることで老齢基礎年金に上乗せした年金を受け取ることができる公的な年金制度です。

iDeCoと比較してそれぞれの特徴を見ていきます。

次の表をご覧ください。

国民年金基金 iDeCo
基金が運用 自分で運用
終身年金 確定年金
予定利率1.5% 運用次第

iDeCoの場合は自分で運用指図をしなければいけないのに対して、国民年金基金の場合は自分で運用指図をする必要はありません。

またiDeCoが確定年金であるのに対して、国民年金基金は終身保険です。

自分で運用したくない方や長生きのリスクを心配している方には国民年金基金をオススメすます。

一方、自分で自由に運用したい方や、多少はリスクをとってでも積極的に利益を出したいという方はiDeCoがオススメです。

5-2.iDeCoと国民年金基金は併用できる

iDeCoも国民年金基金もどちらもそれぞれ良い面があり、どちらに加入するか選べないという方もいるでしょう。

そのような方はiDeCoと国民年金基金を併用するというのも検討しましょう。

6.自営業・個人事業主は老後に向けて自助努力を!

自営業・個人事業主の方に向けてiDeCoのメリットや注意点、転職するときのことなどについて解説しました。

iDeCoは老後に向けた積み立て投資をしながら税制優遇を受けられるというお得な制度です。老後に向けた自助努力が要求される自営業・個人事業主の方は活用しない手はありません。

一方で、60歳まで引き出すことができないという性質もあるので、収入が安定しない方は加入金額を慎重に考える必要があります。

基本的には、無理のない範囲であればできるだけ大きく拠出するのがオススメです。

ぜひ、iDeCoの特長を活かして老後に向けた準備を始めましょう。

この記事を読んで

iDeCoを始めてみよう!

という気持ちになった方は、こちらの記事でiDeCoの始め方を解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。



iDeCoの始め方!加入資格や始める前に考えるべきことを解説