【FPが解説】老後の住まいについて持ち家と賃貸のメリット・デメリットを解説

老後 賃貸

「人生100年時代」は、老後期間が長期化していることを意味しますが、それが自分たちの生活に何をもたらすのが、具体的に考えている人は少ないでしょう。

「目の前の人生を生きることに精一杯」と思う人もいれば、「何十年も先の話を考えることは、現実味がなく、つい先延ばしにしてしまう」という人もいます。

ところが、50代にもなると少しずつ老後について意識をし始める人も多いでしょう。

なかでも住まいについては重要です。

なぜなら、1つめに、暮らしの根幹となる住まいは、自分たちの生き方そのものであるからです。2つめに、持家・賃貸に関わらず、老後期間が伸びていることで、人生の三大支出のひとつ、住まいにかかる費用は、わたしたちの生活に重くのしかかってくるからです。

今回は、老後に持家に住む場合と、賃貸に住む場合、それぞれのメリット・デメリットについて紹介します。

みなさんの老後を豊かなものにするためには、事前にじっくりと思考できるか否かがポイントです。

この記事がその一助になれば幸いです。

1.老後持家のメリット・デメリット

1-1.老後持家のメリット

老後持家の大きなメリットは、住宅ローンの完済後は毎月の住居費がほとんどかからないという点です。

(固定資産税(マンションの場合は修繕積立金・管理費も)は発生します。)

しかし30代で購入した物件に、そのまま100歳近くまで住み続けることはできません。

そのため、メンテナンス費用がどれくらいの時期にどれくらいの額が必要なのかはきちんと把握し、計画的にお金を準備しておくことが必要です。

1-2.老後持家のデメリット

持家(特に郊外の戸建ての場合)のデメリットは、一般的に住み替えがしづらい点です。

高齢になると、「利便性のいいマンションに住み替えたい」などの声があります。

しかし、木造であれば約20年で建物の価値はほぼゼロになり、土地価格も、郊外の場合は下落していて納得できる金額で売却できるケースは少ないでしょう。

このように売却資金をもとに住み替えするのが難しければ、現状の住まいをリフォーム等して、その場に留まるか、家賃によっては賃貸住宅に移り住むことが考えられます。

ただし、利便性のいい場所は家賃が高いので、賃貸の場合は100歳近くまで家賃を払い続けられるかについて、試算する必要があります。

一方、都心のマンションに住んでいる人には「老後は田舎でゆっくり暮らしたい」などのニーズもあるでしょう。

この場合は買い手が見つかりやすく、価格も郊外戸建てに比べると期待できます。

しかし、マンションの場合のデメリットもやはり存在します。

老朽化しているマンションに住んでいて、建て替えが必要とされる場合、住人の同意(区分所有者数の5分の4以上の賛成と議決権の5分の4以上の賛成)が得られないと、建て替えが実施できません。

一級建築士鈴木哲夫氏によると、マンションは「新耐震基準のマンションで、定期的にメンテナンスを適正に実施していれば、100年ほどもつ」と言われていますが、古いマンションを購入している人は、注意が必要です。

参考

2.老後賃貸のメリット・デメリット

2-1.老後賃貸のメリット

老後賃貸の大きなメリットは、何といっても住み替えしやすいことです。

さきほど、都心のマンションであれば売りやすいと述べましたが、賃貸なら売買などの手続きも不要で、気軽に住まいを変えることができます

また、リフォームなどメンテナンスの必要もないので、そこに時間とお金の両方を費やすコストがありません。

注意点としては、上記でも述べましたが、100歳近くまで家賃を払い続けられるかについて確認が必要です。

2-2.老後賃貸のデメリット

デメリットは、メリットと表裏一体ですが、自分の好みに合わせてリフォームなどが自由にできないこと、まとまったリフォーム費用は不要であるものの、毎月家賃が発生することです。

また以下の2点はデメリットとして挙げられることもありますが、ここでは逆の立場を紹介します。

一般的に賃貸は、持家よりも満足度が低いと言われています。

しかし、LIFULLHOME’S総研の調査「住宅幸福論 Episode1」によると、「世帯年収やそれに相関する住宅のスペックの違いなどの影響を排除すると、実は持家でも賃貸でも満足度にさほど差がない」ことが分かっています。

同調査では、住むことの幸せは「箱」ではなく「暮らし方」が重要だと結論付けています。

つまり、住宅のスペックではなく、自分たちがどう生活をしていきたいか(健康や愛情、社会参加、自分の属するコミュニティなど)によって幸せがもたらされるということです。

また、高齢者は賃貸を借りづらいという問題を聞きますが、最近は減少傾向にあるようです。

高齢化が進む日本において、賃貸で暮らす高齢者の増加も見込まれるため、国や自治体でも対策を講じています。

入居を断られるなどした場合は、自治体の相談窓口で相談することをおすすめします。

また高齢者などの「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度が2017年から始まりました。

それが「セーフティネット住宅情報提供システム」です。希望条件を入力すると賃貸住宅を探すことができます。

3.まとめ

最後に、現在持家の人と賃貸の人、それぞれの気を付けるべきポイントを整理します。

3-1.持家の人

そのまま持家に住む、または自宅売却後に新居を購入する住み替えを望む場合は、リフォーム費用・住み替え費用がいつ頃、いくらぐらい発生するのかを考慮した収支表を作成し、それにあわせたお金の準備が必要です。

賃貸に移り住もうと考えている人は、生涯払える家賃を把握し、その賃料で住める地域・物件が自分の生き方に合うかどうかを考える必要があります。

どちらの場合も、場合によってはライフプランを修正することも求められます。

3-2.賃貸の人

現役時代は転勤等の関係で、賃貸であった人が、定年と同時に現金一括で自宅購入を検討する場合もあるでしょう。

この場合も、どのくらい金額の物件であれば、ほかの老後資金に影響を与えず生涯生きていけるかを試算する必要があります。

金額範囲内で購入できそうな地域・物件と自分たちの理想のライフプランに差がある場合は、ライフプランを修正する必要も出てきます。

そのまま生涯賃貸を選ぶ方は、上記同様、生涯払える家賃を把握しておくことが大切です。

冒頭で、老後の住まいについて考えることは、自分たちの生き方を考えることと同じであることと、老後期間の伸びによって、住まいの費用について設計しておく必要性が増していることを述べました。

65歳で退職した後30年生きるとすれば、30年間の生活が、活気あるものになるように、そして、お金の面でも心配がないようにしたいものです。

生き方については、どんな場所でどんな生活をしたいのか考え、退職前に決めておきましょう。

理想の生活の実現可能性・そのためのお金の準備の仕方については、FPに相談するのがベストです。