【FPが解説】成功する退職金の運用方法!老後投資の考え方も紹介

退職金

50代後半になると会社勤めの人ならば誰もが退職金を意識するようになります。

特に長年、一つの会社でコツコツと頑張って来られた方は想像したことも無いようなまとまったお金を手にすることができます。

平成30年度に厚生労働省が発表した「就労条件総合調査結果の概要」によると、20年以上務めた45歳以上、大卒の場合の退職金の平均額は1,983万円です。場合によってはそれよりも多い退職金をもらうことは十分にあり得ます。

今回はまとまった退職金を手にした際の資金運用の考え方、自分に合った退職金の運用方法、さらに退職金の運用で注意したいことをお伝えします。

1.退職後の資産運用の必要性

厚生労働省が平成30年度に発表した「簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.25歳、女性は87.32歳でした。

最近では年金の問題や高齢世代の活躍場を広げることを目的とした定年の延長も検討されています。

仮に未来の人たちが70歳くらいまで働くようになったとしても、「老後」は私たちが想像しているよりも長期間になる可能性が高いです。

平均寿命はこれからも伸びていくでしょうし、ゆとりのある老後を送るには余裕をもった生活資金が必要になります。

「老後2,000万円問題」でも話題になりましたが、年金給付のみで生活をする夫婦は平均して毎月5万円の赤字が発生すると言われています(それが30年続くと仮定して2,000万円が足りなくなると騒ぎになりました)。

しかし逆に言えば、毎月5万円を資産運用で得ることができれば、資産を目減りさせることなく老後を安心して暮らすことができます。

老後は「増やしながら使う」のが理想的な状態だと言えます。

2.退職金の振り分け

退職金を元手にした投資のおすすめをお伝えする前に、先に行っていただきたいことがあります。

それは、退職金を含めた資産を「流動性」によって3つに分類することです。

これは様々なところで勧められている方法です。

流動性で3つに分けるとはどういうことかというと、お金を使う時期によって分けるということです。

 

今回は便宜的に「流動性(短期)資金」「中期的に使う資金」「余裕(長期)資金」に分けます。

お金を使う時期によって分類する
  1. 流動性(短期)資金
  2. 中期的に使う資金
  3. 余裕(長期)資金

それぞれの特徴は以下のとおりです。

2-1.流動性(短期)資金

ここでは流動性資金とは日頃の生活費や、病気や冠婚葬祭など急に必要になるお金のことを指します。

使う時期が1年以内にあるお金、つまり1年の生活にかかる金額が流動性資金に当てはまります。

2-2.中期的に使う資金

中期的に使う資金とはすぐには使わないけれど使うことが決まっている資金、もしくは使う可能性が高いお金のことを指します。

具体的には介護にかかる費用や葬式代、家のリフォームや孫へのお祝いなどが挙げられます。

介護や葬式代は夫婦の場合、二人分の費用を考えなければいけないことに注意してください。

2-3.余裕(長期)資金

自分の資産から流動性資金と中期的に使う資金を除いた残りが余裕資金になります。

退職金の運用が成功するかどうかは、この余裕資金の運用が大きな鍵を握ります。

というのも先の2つの資金はその性質上、絶対に減らしたくないお金になります。

そのため比較的安全に運用をしなければいけません。

自ずと大きな利益を期待することはできなくなります。

余裕資金では自分が許容できる範囲でリスクを取って運用をします。

万が一失敗するようなことがあっても、最低限の生活費と必要なお金は守られます。

退職金または老後の資産運用でよくある失敗は以前の記事でも書きました。

資産を分けて管理することで大きな失敗のリスクを減らして、成功の確率を高めることができます。

3.退職金の運用のおすすめ商品

資金を3つに分けることを説明しました。

ここではそれぞれの資金について、おすすめの運用の方法をお伝えします。

先にも述べましたが、流動性資金と中期的に使う資金は安全な運用が求められます。

そのため商品の選択肢は限られてきますが、余裕資金の運用は自分の知識やリスクの許容度、目的や志向に合った方法を選んでいただければと思います。

3-1.流動性資金のおすすめ運用商品

こちらは減らすことが許されない資金として、安全で現金にしやすい金融商品(もしくは現金そのもの)で運用する必要があります。具体的には普通預金、MRFが上げられます。

MRFとはMoney Reserve Fundの略称です。安全性の高い公社債で運用される投資信託で、内容に株式は含まれません。

基本的に販売手数料や信託財産留保額はかかりませんし、1円単位で買うことができます。

証券口座を開設してお金を預けると自動的にMRFで運用されることが多いです。

3-2.中期的に使う資金のおすすめ運用商品

中期的に使う資金は今すぐに必要なわけではありません。

しかし普通預金などの現金で保有しておくには時間があるので、安全で少しでも利益を生んでくれる商品を選びます。

使う時期がある程度予想できることから、満期がある定期預金や個人向け国債などがおすすめです。

個人向け国債は国が発行する個人を対象にした債券です。

0.05%の最低金利保証があり、年に2回の利子を受け取ることができます。

満期になると購入した代金が戻ってきます。

個人向け国債には変動金利型(10年)と固定金利型(5年・3年)があります。

10年国債は半年ごとに実勢金利で適用金利が変わりますが、0.05%の最低金利が保証されています。

発行後1年すれば中途換金することもできますので、予定していなかった緊急の資金が必要になる場合でも対応できます。

3-3.余裕資金のおすすめ運用商品

余裕資金では多少のリスクをとってでも利益を狙える運用を目指します。

先に予め資産を振り分けているので、余裕資金では自分が理解できて挑戦してみたい商品を選ぶとよいでしょう。

3-3-1.株式

株価の値下がりのリスクはありますが、大きな値上がり益も期待できるのが株式です。

日頃から経済のニュースに敏感な方や市場の動向に詳しい方は挑戦してみてもいいでしょう。

3-3-2.投資信託

投資信託は投資家から資金を集めて、専門家が運用をします。

運用対象には株式や不動産などもあり、その利益が投資家に分配される金融商品です。

運用はプロに任せることができるので、知識が浅い投資初心者も買いやすい商品です。

3-3-3.ヘッジファンド、独立系投資会社

ヘッジファンドとはいろいろな投資の方法を駆使して利益を追求するファンドです。

ヘッジとは「避ける」という意味で、市場が下がったときにも資産が減ることを避けるという意味で使われています。

ヘッジファンドは先物取引や信用取引も積極的に活用して、市場の高下に関係なく利益を得ます。

しかしヘッジファンドは普通の投資信託のように公募されているわけではありません。

公には募集をかけずにヘッジファンド側が直接、投資家に営業をかけることが多いです。

ヘッジファンドはプライベートバンク(資産額が一定以上の富裕層が対象の金融機関)などで買うことができます。

余裕資金にまとまったお金を用意することができる人はぜひ挑戦してみたい商品です。

最近ではヘッジファンドを対象とした投資信託(ファンドオブファンズ)や、100万円程度から出資できるヘッジファンドもあります。

4.退職金運用で気を付けたいこと

退職金の運用で注意したいことを2点だけお伝えいたします。

4-1.分散投資を徹底する

退職金というまとまったお金を手にしても、冷静になって投資の基本である分散投資を心がけてください

余裕資金で投資を行う際も同じです。分散投資とは主に4つの観点から資金を分散させます。

国内と国外という地域の分散。株式、債券、現金などの商品の分散。

円、米ドルなどの通貨の分散。

そして投資をするタイミングをずらす時間の分散です。

4-2.銀行などの「退職金プラン」への加入はよく考えて

退職金が振り込まれる銀行をはじめとした金融機関は、あなたに退職金が入ったことを知っています。

そのため退職金が入る頃になると自社の「退職金プラン」を営業してくることがありますが、加入はよく考えるようにしましょう。

銀行がつくる「退職金プラン」は預金と投資信託を抱き合わせて契約させるものが多いです。

そして預金の金利を高く見せ、投資信託の手数料が高いことに気付かせない手法が取られます。

しかし預金の高い金利は期間限定であることが多く、セットで購入させられる投資信託の手数料の方が高いことで「手数料負け」をしてしまうことがあります。信じられない話かもしれませんが退職金の運用のよくある失敗例として挙げられます。

投資において自分の頭で考えずに人の意見を鵜呑みにしてしまうことは、本当に危険であり避けたいことです

5.もらってから慌てないように余裕のある準備を

退職金を手にした際の資金運用の考え方、運用方法、注意したいことをお伝えいたしました。

会社勤めをしている人にとって、退職金はひとつの目標かもしれません。

長い人生でも退職金のような大金を一度に手にする機会はそんなにあることではないでしょう。

退職金はある程度金額が予想できる一時金です。

もらってから慌ててしまわないように、今からできる準備をして老後の資産運用に備えてください。