【FPが解説】40代専業主婦が考えるべきお金のこと(老後や夫の万が一時について考える)

専業主婦

女性が結婚・出産後も働き続けることが増え、今日は少数派となった専業主婦ですが、老後資金等のお金の心配から、40代で再び働くことを検討する主婦の方もいるのではないでしょうか。

実際、晩婚化や給料の伸びが小さくなっている等の背景から、夫の退職年齢時点で教育費や住宅ローンの支払いが残る、老後資金の準備までたどり着かない、というケースがあり、お金に関する心配事は昔よりも増えているといってもいいでしょう。

ここでは、40代専業主婦の方が、今後のライフプラン上で意識すべき問題とその解決策をお伝えします。

1.専業主婦が意識すべき問題

1-1.専業主婦家庭と共働き家庭の格差

書籍『専業主婦は2億円損をする』(著者:橘玲)では、「大卒の女性が60歳まで働いた時の平均的な生涯年収は(退職金を除いて)2億円」であると述べられており、これが書籍タイトルの意味するところです。

「それに対して、第1子出産後に退職し、第2子の子育てが落ち着いてからパートで再就職した場合の生涯所得は6000万円。子育て後に働いたとしても、1億4000万円も損をすることになる」と続きます。

これは、一人一人の多様な価値観・生き方は無視して、「お金」という観点だけを見ると、専業主婦が不利であることを示しています。

賃金上昇が見込みにくく、平均余命が長くなっている日本において夫婦二人で働く選択肢を捨てるのは、一般的にはリスクがあると言えるでしょう。

さらに、現役時代のみならず、老後に受け取ることができる年金にも、大きな差があるのです。以下のサイトでは、一例として、会社員と専業主婦の世帯と、共働き世帯の年金月額が示されています。

この二つのケースで男性の収入が同じと仮定すれば、当然ですが、共働き世帯の年金月額の方が大きくなります。

注目したいのは、男性の収入だけが大きいよりも、共働きのほうが年金収入は大きくなる傾向があるということです。

筆者自身も現在一時的に主婦をしていますが、再就職するつもりでいます。

現役時代・老後の資金確保に一番大切なのは、資産運用や節約でなく、共働きだと考えているからです。

1-2.夫の万が一時、どうなる?

収入のない専業主婦にとって、夫の万が一時の収入面の不安は大きいでしょう。

万が一は想定したくないことですが、突然それが起きても、お金の面では困らないように知識を備えておきたいものです。

まずは、夫の万が一時に支給される「遺族年金」について理解する必要があります。

遺族年金は、老齢年金と同様、2階建てになっており、1階部分が遺族基礎年金、2階部分が遺族厚生年金です。

それぞれの支給要件を説明します。

1-2-1.遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者(または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者)が亡くなった場合、その被保険者(死亡した者)によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が、遺族基礎年金を受け取ることができます。

ここでいう子の定義は、以下の通りです。

子の定義
  1. 18歳になった年度の3月31日までの間にある子(つまり高校生3年生まで)
  2. 20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある子
  3. 婚姻していないこと

ここでのポイントは、遺族基礎年金は子がいない配偶者には支給されないという点です。

支給年金額は、「780,100円 + 子の加算」となります。

(子の加算:第1子・第2子→各224,500円 第3子以降 → 各74,800円)

1-2-2.遺族厚生年金

遺族厚生年金は、会社員や公務員などの厚生年金加入者が死亡した時に、生計維持関係にあった①配偶者又は子(子の定義は上記と同様)、②父母、③孫、④祖父母に支給される年金です。(番号が若い遺族の優先順位が高い)

ポイントは、遺族厚生年金は、子がいない配偶者も受け取ることができる点です。

受給要件には短期要件と長期要件の2種類があり、どちらかの要件を満たすと遺族厚生年金を受給することができます。

短期要件は、被保険者が死亡した場合、又は在職中の傷病がもとで、初診日から5年以内に死亡した場合が該当します。長期要件は老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合となります。
 
年金支給額は以下の計算式によって求められます。

A=平均標準報酬月額(※1)× 7.125 / 1,000 × 平成15年3月までの被保険者月数


B=平均標準報酬額(※2)× 5.481 / 1,000 × 平成15年4月以後の被保険者月数

(※1)平均標準報酬月額とは「被保険者であった期間の標準報酬月額の合計」を「被保険者であった期間の月数」で割った額。

(※2)平均標準報酬額とは「標準報酬月額に賞与額を加えた額」を「被保険者期間の月数」で割った額。(賞与を含めた平均月収。)

≪短期要件の場合≫
(A+B)×300ヶ月÷被保険者月数×3/4

≪長期要件の場合≫(A+B)×300ヶ月×3/4

例えば、平成15年4月から厚生年金に加入し、加入期間が204月、平均標準報酬額が45万円の被保険者が死亡した場合、短期要件に該当します。上記計算式により求めると、年金支給額は約554,900円となります。

1-2-3.寡婦年金と死亡一時金、中高齢寡婦加算

前述の通り、遺族基礎年金は子のある配偶者又は子に支給されるものであるため、夫が自営業者・フリーランスの場合、夫が亡くなると、妻の収入が途絶してしまうリスクがあります。

そのため、「寡婦年金」という制度が用意されています。

婚姻期間が10年以上ある、60歳から65歳未満の妻が、妻自身の老齢年金を受け取ることができるまでの最大5年間、夫が受け取るはずであった国民基礎年金の支給額の4分の3を受け取ることができます。

寡婦年金の支給要件も満たせなかった場合については、夫の保険料納付済期間が36か月以上ある場合、その期間に応じて12万円~32万円の「死亡一時金」を受給できるようになっています。

最後に「中高齢寡婦加算」についてですが、これは、遺族厚生年金に上乗せされるものです。

妻が遺族厚生年金を受給し、18歳未満の子が遺族基礎年金を受けている場合、その子が18歳に達すると遺族基礎年金の支給が停止するため、年金支給額が大きく減少します。

そのために中高齢寡婦加算が用意されています。

妻の年齢が40歳以上65歳未満であれば子に支給されていた遺族基礎年金の代わりに年額58万5100円の中高齢寡婦加算を受取り出来ます。

妻が65歳に達すると、妻自身の老齢基礎年金の支給に切り替わります。

2.問題を解決するために

2-1.老後資金確保のために

1-1で見た背景から、40代でも、働く意思と働ける環境があるのであれば、厚生年金に加入できる働き方を検討すべきだと言えます。

社会保険料の負担で手取り額は減りますが、長期で考えれば、老後の資産作りに役立ちます。

平成28年10月より、厚生年金保険・健康保険の適用対象者が拡大されました。

以下の要件すべてに該当する場合は、パートであっても厚生年金保険・健康保険の被保険者となることができます。

パートでも厚生年金保険・健康保険の被保険者となる条件
  1. 規模501人以上の企業に雇用されていること
  2. 週の所定労働時間が20時間以上あること
  3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
  4. 雇用期間が1年以上見込まれること
  5. 学生ではないこと

さらに、平成29年4月より、従業員規模が500人以下の企業においても、労使合意が得られた場合、上記②~⑤の要件をすべて満たす労働者は厚生年金に加入できるようになりました。

扶養から外れることで、世帯全体の所得税・住民税がどの程度増えるのか、将来の年金受取額はどれくらい増えるのかの具体的な数字は、FPに相談して概算を算出してもらいましょう。

2-2.遺族年金で不足する額は把握しておく

1-2-1~3において、夫の万が一時に受け取ることのできる遺族年金について説明をしましたが、金額のイメージはいただけたでしょうか。

難しいと思われた方もそうでない方も、不足額はFPに具体的な数字を出してもらうのが安心です。

遺族年金額と年間の生活費を比較して、不足する部分は保険や貯蓄で準備しておかなければなりません。

一般的には、子どもが独立するまでの間に不足する資金を、「収入保障保険」で備えます。

商品によって細かい内容は異なりますが、被保険者が亡くなったときや重い障害を負った際に毎月保険金を受け取ることができます。

また、時間の経過とともに、不足する生活費の総額は段階的に下がっていくので、それに合わせて、保険金の受取総額も逓減させることで、保険料を割安にしているのが特徴です。

3.まとめ

ここまで、専業主婦の方が、今後のライフプラン上で意識すべき点とその解決策を説明してきました。

意識すべき点は、①専業主婦世帯と共働き世帯では、現役時代の収入のみならず老後の年金についても、大きな差が生じること、②夫の万が一時に受け取れる遺族年金についてでした。

①については、厚生年金に加入できる働き方を検討すること、②については、遺族年金だけでは不足する額を用意しておくことが重要です。みなさんの今後の生活がより良いものになることを願っています。