【FPが解説】知っておきたい介護保険制度

介護保険制度

2019年、厚生労働省の発表によれば平均寿命が男性81.25歳 女性87.32歳と過去最高を更新したとのことです。

予測では平均寿命はまだまだ延びていくとされています。

このような長生きの時代になったからこそ、現在、介護の問題が話題になっています。

そこで今回は、介護保険制度について説明していきます。

1.介護保険制度

日本では2000年4月に介護保険制度がスタートしました

要介護認定を受けた方が介護サービスを利用した際、介護保険から給付が受けられる制度です。

要介護認定とは、自分が介護状態であることを市区町村に対して申請をして認定してもらうことをいいます。

ここでは、詳しく介護保険制度の内容について見ていきます。

1-1.介護保険給付の対象者

介護保険制度では保障の対象者は65歳以上と40歳から64歳までの2種類に区分されます。

65歳以上の方を第1号被保険者、40歳から64歳までの方を第2号被保険者といいます。

第1号被保険者と第2号被保険者では介護保険から給付を受けられる要件が違いますので、注意が必要です。

1-1-1.第1号被保険者(65歳以上の方)

要介護または要支援の判定を受けた方が介護給付を受けられます。

要介護、要支援状態になった原因は問いません。

1-1-2. 第2号被保険者(40歳から64歳の方)

末期がんや脳血管疾患など16区分に分類された特定疾病に起因して要介護、要支援状態になった場合、介護給付が受けられます。

1-2. 介護保険制度の利用手続き

もし介護サービスを利用しなければならなくなったとき私たちはまず何をすればよいでしょうか。

ここでは、介護サービスの利用が必要になった場合の手続きの流れを見ていきます。

1-2-1.要介護認定の申請

介護保険の給付を受けるためには、まず要介護認定を受ける必要があります。

介護が必要な方がお住いの市町村役場で申請を行います。

本人以外にもご家族からの申請も可能です。

また、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者、介護保険施設、成年後見人などに代行してもらうことが可能な場合もあります。

事前に確認しておくとよいでしょう。

手続きに必要なものとして、65歳以上の方は介護保険証、40歳から64歳までの方は健康保険証が必要です。

さらに、手続きにはマイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カードが必要ですので、持っていくようにしてください。

1-2-2.要介護認定の調査

次に、市区町村からの訪問調査を受けます。

訪問調査では本人とご家族から心身の状況について聞き取りがあります。

聞き取りに関しては全国一律の内容となっており、74の基本項目と特記事項があります。

さらに、市区町村からの直接の依頼で主治医に意見書を作成してもらいます。

1-2-3.審査と認定結果の通知

そして、訪問調査と意見書をもとにコンピューターで1次判定をされた後2次判定として介護認定審査会で審査が行われます。

その後、原則30日以内に市区町村から認定結果の通知があります。

1-2-4.ケアプランの作成

要介護等の認定が受けられたら、ケアマネジャーに依頼して介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。

ケアプランでは、いつどのようなサービスを受けるかを決めていきます。

ケアプランの作成料は無料で、自分で作成することもできます。

1-2-5.介護サービス利用開始

支給限度額が決定し、介護サービスが利用できます。

介護サービスは大きく分けると居宅サービスと施設サービスの2つに分けられます。

居宅サービスとは在宅で受けられるサービスのことで施設サービスとは施設に入所して受けられるサービスのことです。

注意点は2つです。

居宅サービスについては介護保険からの給付に支給限度額があります。

また、施設サービスについては、特別養護老人ホームに新規入所できるのが、原則 要介護3以上の高齢者に限られます。

これら2点について注意しましょう。

1-3.介護保険給付

介護保険にも健康保険と同様に所得に応じて自己負担割合が決められています。

ここでは、介護保険を利用した際の自己負担額について見ていきます。

1-3-1.介護保険給付対象のサービスを利用する場合

介護保険給付対象のサービスを利用した場合は基本的には利用額の自己負担割合分を自己負担するようになります。

ただし、居宅サービスを利用した場合は支給限度額がありますので注意が必要です。

支給限度額は介護認定の状態(要支援1~2、要介護1~5)により7つの区分に分けられます。

例えば、要支援1の場合は50,320円、要介護5の場合は362,170円というように区分により支給限度額が異なります。

注意点として、支給限度額を超えてサービスを利用した場合は超えた分については全額自己負担となります。

原則、自己負担は1割ですが、一定所得者については2割、現役並み所得者については3割となります。

通常、支給限度額の範囲内で介護サービスを利用した場合は利用額の自己負割合分(1~3割)が自己負担額になります。

ところが、支給限度額の範囲を超えて居宅サービスを利用した場合はさらに自己負担が増えます。

支給限度額の自己負担割合分だけでなく支給限度額を超えた分を合わせた額が自己負担となります。

例えば、要介護1、自己負担割合が1割の方が居宅サービスを20万円利用したとします。

そうしますと要介護1の方の支給限度額は一般的に167,650円になります。

自己負担分として1割負担するので、負担分は16,765円となります。

さらに、支給限度額を超えた分については全額自己負担になります。

20万円から167,650円を引いて32,350円です。

1割負担分と支給限度額を超えた分を合計した49,115円が実際の自己負担額となります。

1-3-2.介護保険給付対象外サービスを利用する場合

一般的に特別養護老人ホームなどの居住費や食費、デイサービスなどの通所施設における食費は保険給付対象外になります。

つまり、これらの利用費については利用した分だけ全額自己負担となります。

特に居住費につきましては、かなり負担になる場合もありますのであらかじめ確認して負担額をイメージしておくとよいでしょう。

2.介護にまつわる負担軽減制度

 

介護サービスの継続的な利用、福祉器具の購入、手すりの取り付け工事など介護は金銭的負担も大きくなります。

そのようなときに金銭的負担を減らしてくれる制度を知っていることはとても強みになります。

ここでは、負担軽減制度について見ていきます。

2-1.高額介護サービス費支給制度

高額介護サービス費支給制度では介護サービスを利用した場合の月々の自己負担額に上限が設けられています。

高額介護サービス費支給制度を利用すると上限額を超えた分について還付が受けられます。

上限額は所得に応じて6区分に分けられます。

例えば、世帯内に住民税が課税されている者がいる場合上限額は44,400円となります。

世帯で介護サービス利用費が44,400円を超えますと還付が受けるということになります。

注意点は2つです。所得区分によって世帯全員の負担額で上限額を見る場合と個人の負担額で上限額を見る場合があります。

また、支給限度額の範囲を超えた部分については還付が受けられないので注意が必要です。

例として、要介護3認定、自己負担割合2割の方が介護サービスを月に30万円利用した場合で考えてみます。

例の場合、月額負担の上限額は44,400円です。

要介護3認定の支給限度額は一般的に270,480円です。

そうしますと、まず2割負担分として270,480円の2割にあたる54,096円を負担します。

さらに、支給限度額を超えた分として30万円から270,480円を引いた29,520円を負担するようになります。

結果、自己負担として54,096円に29,520円を足した83,616円を負担することになります。

注意として、この例の場合、高額介護サービス費として還付を受けられるのは2割負担した金額54,096円に対してのみです。

支給限度額を超えた分29,520円については還付されませんので注意しましょう。

つまり、例の場合54,096円から44,400円を引いた9,696円が還付金として戻ってきます。

高額介護サービス費支給制度については下記の厚生労働省のウェブサイトを参考にしてください。

2-2.高額介護合算療養費制度

同一世帯において前年8月~7月までの1年間に自己負担した医療費と介護サービス利用費が上限額を超えると還付が受けられる制度です。

所得と年齢の区分に応じて上限額が違います。

注意点としては、同一世帯というのを健康保険制度上の世帯で考えるという点です。

例えば、夫が国民健康保険で妻が全国健康保険協会に加入している場合、健康保険制度が違うので同一世帯にはなりません。

同じ健康保険制度に加入していて保険証の番号が同一であれば同一世帯と考えることができます。

また、前年8月~7月までの1年間の合計である点にも注意しましょう。

高額介護合算療養費制度については下記の厚生労働省のウェブサイトを参考にしてください。

2-3.その他の制度

介護保険では事前に申請をして手すりの取り付けや段差解消のためのリフォームを行った場合、20万円を限度に給付を受けられます。

また、介護に対しての給付金は市区町村独自で行われているケースもあります。

介護関係で費用が発生する場合は、事前に市区町村などに問い合わせをしてみるとよいでしょう。

3.まとめ

長生きの時代からこそ、どこのご家庭でも起こりうるのが介護の問題です。

介護状態になりますとご本人が大変なのはもちろんのこと周りのご家族にも大変な負担がかかります。

お元気なうちにご家族と介護のことについて考えることが大切です。

まずは、介護保険制度のことをよく理解していただきいざという時に困らないようにしっかりライフプランを立てておきましょう。