【FPが解説】老後資金準備に保険活用?活用方法とメリット・デメリットを解説!

老後資金保険

公的年金制度改革が話題となり老後生活への不安から資金準備を検討する人が増えています。

資金の準備方法は貯金や投資など様々ですが、何を選択すればいいのでしょう?

この記事では、老後資金準備の選択肢の一つとして生命保険の活用方法を紹介するとともに、生命保険活用によるメリット・デメリットを解説します。

1.老後資金準備に保険を活用!

平成30年度の個人年金世帯加入率(※)は、20代で15.3%と大幅に上昇(平成27年は6.3%)し、全世帯平均の21.9%に近づきました。

若年層の老後生活に対する関心の高まりと、老後資金の準備方法として個人年金の認知度の高さが見て取れます。

しかし個人年金以外にも老後資金準備に活用できる保険がありますので、活用可能な保険種類と概要を理解しましょう。

※生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する 全国実態調査 〈速報版〉

1-1.活用できる保険種類

老後資金準備に活用できる保険の種類は大きく次の3つに分類できます。

老後資金の準備に活用できる保険
  1. 終身保険…本来は一生涯の死亡を保障する保険。今回は、中途解約による解約返戻金を老後資金に充てることが前提となる。
  2. 養老保険…満期時に満期保険金が受けられる保険
  3. 個人年金…加入時に決めた支給開始時より年金が受けられる保険

①~③のほか、④外貨建て保険と⑤変額保険という保険種類がありますが、例えば外貨建て保険は、外貨建て終身保険と外貨建て個人年金の総称で、保険内容は、基本的に①終身保険と③個人年金と同様です。

1-2.各保険種類の特長

老後資金準備に活用できる各保険種類の特長を解説します。

1-2-1.終身保険

一生涯、死亡保障が継続します。途中解約して解約返戻金を老後資金に充てます。

1-2-2.養老保険

満期のある保険で、満期までに死亡した場合と満期時に生存していた場合のどちらでも、同額の保険金を一時金で受け取ることができます。

1-2-3.個人年金

年金開始時期から年金を分割払いで受け取ることができます。

また年金は受取期間によって、終身年金と確定年金などに分類されます。

1-2-4.外貨建て保険

終身保険と個人年金があります。終身保険、個人年金との違いは、保険料の支払い、保険金や年金の受取りが外貨建てになることです。

そのため、日本円を外貨に換金する際には手数料が必要になり、また保険金や年金の受け取り時に為替差益・差損が発生することがあります。

外国債など日本より利回りの高い商品で運用するため、払い込んだ保険料に対する返戻率は高くなりますが、一方で為替リスクもあります。

1-2-5.変額保険

終身保険と個人年金があります。終身保険、個人年金との違いは、積立金の運用状況によって受け取る保険金額や年金額が変わるということです。

運用がうまくいけば受け取る保険金額や年金額が増える半面、運用実績が悪ければ受け取る金額が想定よりも低くなるリスクがあります。

2.保険を活用するメリット

老後資金準備に保険を活用するメリットとデメリットは何でしょう?

まずは保険を活用するメリットから見ていきます。

2-1.死亡保障と貯蓄を同時に準備できる(終身保険・養老保険)

終身保険や養老保険への加入で、貯蓄だけでなく保険加入から満期(または途中解約)までの間、死亡時の保障も準備できます。

「最低限の保障は欲しいが、掛け捨ての保険に加入したくない」と考える人には、有力な選択肢となります。

2-2.長期的に老後資金を準備できる

低金利が続く現在、銀行預金は長期にわたる老後資金準備に適しているとは言えません。

定期預金は最長が10年で、直近の金利は0.01%前後です。

積立預金は積立期間に制限はありませんが、金利は定期預金よりと同率か低くなります。

一方、加入期間の長い保険商品は長期的な運用が前提なので、予定利率は銀行金利よりも高くなります。予定利率の基となる標準利率は現在0.25%です。

2-3.生命保険料控除、個人年金保険料控除が受けられる

生命保険を活用した場合、生命保険料控除または個人年金保険料控除という税制上のメリットがあります。

1年間に支払った保険料のうち4万円(※)までは所得控除があり、所得税・住民税が安くなります。

一般の生命保険と個人年金の両方に加入する場合、生命保険料と個人年金保険料は、それぞれ4万円まで所得控除されます。

※平成24年1月1日以後に締結した保険契約。それ以前に締結した保険契約の所得控除額
は最高5万円。

2-4.高い運用利回りが期待できる(外貨建て保険、変額保険)

外貨建て保険の積立金運用は日本国債よりも利回りの高い外国債を中心に行うため、予定利率も高くなります。

そのため払い込んだ保険料に対する返戻率は高く、円建ての商品(終身保険や個人年金)より運用利回りは高くなります。

変額保険は積立金の運用実績に応じて、保障額や解約返戻金額、年金額が変わるため、うまく運用できれば高い返戻率が期待できます。

また比較的、高いリターンを求めて運用するため、運用実績が上がれば大きなリターンも期待できます。

3.保険を活用するデメリット

次に老後資金準備に保険を活用するデメリットを解説します。

3-1.早期解約で元本割れ

貯蓄目的で保険活用する最大のリスクは、早期解約によって解約返戻金が払込保険料を大幅に下回ることです。

加入1、2年で解約した場合、解約返戻金がない場合もあります。

早期解約で多いのは、保険料の払込みが困難になるケースと、急に資金が必要となるケースです。

リスクを軽減するには、加入時の余裕を持った資金計画が重要です。

3-2.予定利率が低く大きなリターンは期待できない

リスクのある外貨建て保険や変額保険以外の保険種類は、払込保険料に対する返戻率はあまり高くありません。

原因は予定利率が低いことです。

また終身保険などは、保険料の一部を死亡保障に充てるため解約返戻金は抑えられます。

3-3.為替リスク、運用リスクがある(外貨建て保険、変額保険)

外貨建て保険は、運用リスクは少ない(外国債などで運用)が為替リスクがあります。

外貨で受け取った解約返戻金や年金は、円高であれば円換算で減少します。

変額保険は、運用リスクがあります。

比較的リスクの高い運用を行うため、運用が悪ければ受取る解約返戻金や年金が大幅に減少することもあります。

3-4.解約や満期で死亡保障がなくなる

死亡保障ニーズがあって終身保険や養老保険に加入している場合、解約や満期によって新たな保険に加入する必要がでてきます。

年齢が高くなり保険料が高くなる、病気などで保険に加入できない、などのリスクも考えられます。

4.どんな人に向いているのか

前述のメリット・デメリットから、保険を使った老後資金作りをおすすめできる人と、逆にどんな人にお勧めできないかを見ていきます。

4-1.保険を使った老後資金作りをおすすめできる人

おすすめできるのは次のような方です。

①「手堅くお金を貯めたい、損はしたくない」という方には、個人年金(または終身年金)
の検討をおすすめします。

②「掛け捨ての死亡保険はもったいない」と考える方には、終身保険や養老保険で死亡保障
の準備をおすすめします。

③「お金が貯まらない、直ぐにお金を使ってしまう」という方は、保険を活用した貯蓄をおすすめします。銀行預金と違い保険は引き出すのに手間がかかり、また保険料は給与や口座から自動引去りなので、加入後は意識せずに貯金できます。

④「生命保険料控除、個人年金保険料控除など税制上のメリットを活用したい」と考える
方には、他の税制上の優遇措置も併せての検討をおすすめします。掛け金全額を所得控除
できるiDeCoも選択肢となります。

⑤「ハイリスクでもハイリターンが欲しい」「資産のリスク分散を図りたい」と考える方に
は、外貨建て保険や変額保険をお勧めします。

4-2.逆にどんな人におすすめできないのか

逆におすすめできないのは次のような方です。

収入に余裕がなく保険料支払いの困難な人転職予定で長期的な見通しが立たない人は、
早期解約のリスクがあるので、加入検討を先延ばしすることをおすすめします。

住宅購入や子供の進学費用など、近い将来の資金準備ができていない人は、まずは近い将
来の資金準備を優先する方がいいでしょう。

長期的な視点で、リスクを負いながら高い運用利回りを求める方は、投資信託や株式などの投資も選択肢となるでしょう。外貨建て保険や変額保険も選択肢となりますが、死亡保障がついているので純粋な投資とは言えない面もあります。

5.まとめ

老後資金準備に保険活用するかどうかは、専門家でも意見の分かれるところです。

保険活用する場合は、メリット・デメリットを理解し、現在と将来の資産状況、収入、家族状況なども考えて、最適な保険選びをしましょう。

資産運用は期間が長いほど運用利回りが大きく影響します。

日本では「リスクのある投資」よりも「リスクの少ない貯蓄」が好まれますが、①低リスク商品のリターンが低すぎる、②長期の運用こそリスクを取れる、③必要な老後資金を得るには高い運用利回りが必要、等の理由で、老後資金を準備する上で「リスクのある投資」は重要な選択肢であると言えます。