【FPが解説】現役世代の方たちへ 安心なシニアライフを迎えるために

昨年、わが国では老後2000万円問題が世間で話題となりました。平均すると高齢夫婦無職世帯(夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯)では月々5万円の不足が生じるという内容でした。

年金などの収入が約21万円なのに対し支出が約26万円なので月々5万円の赤字が生じるということです。この状態を30年続けると約2000万円必要になるので、老後に2000万円必要であるということでした。

これは令和元年6月3日付の金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書に記載されています。
さて、2000万円必要という衝撃的な言葉だけが1人歩きをしてしまった感はありますが、私たちはこの問題を冷静に考えていく必要があります。

それは、世帯によって収入も支出も違えば寿命も違うので、前提通りにはならないということです。当たり前のことですが、このことをしっかりと頭に入れておくことが大切です。

そして、老後2000万円問題が真に私たちに教えてくれることがあります。それは、老後にゆとりをもって生活をするにはある程度の収入と貯蓄が必要であるということです。

つまり、現役世代のうちにしっかりと働き将来の年金を作ることが大切ということです。
さらに、それに加えてこの超低金利時代に投資を中心とした資産形成を行い老後に備えていく必要があります。

そこで、今回は家計をさらに貯蓄体質にするための方法と資産形成をするための方法について考えていきます。

1.ライフプランを明確にしましょう

1-1.ライフプランとは

令和の時代は人生100年時代と言われます。人生100年時代において自分がどのように生きれば自分らしく生きられるのかを考えることはとても重要です。

家族と一緒に楽しく暮らしたいという方もいれば、仕事に邁進し社会貢献したいという方もいるでしょう。そこには自分がこうありたいという夢や希望があります。

その夢や希望を叶えるためにも将来どのようなライフイベントが起こりうるのかしっかり把握することが大切です。

特に結婚やマイホームの購入、大学への進学など人生の節目となるライフイベントには多額のお金がかかります。

ライフイベントが起こっても困ることのないように事前に把握しておきましょう。

自分と家族がどういう人生を歩むのかを選択することがライフプランです。

1-2.ライフプラン表の作成

ライフイベント表を作成します。項目は4つです。

書き出す項目は次の4項目です。

ライフイベント表の項目
  1. 西暦
  2. 家族の年齢
  3. ライフイベント
  4. かかる費用

これらの項目に対して20年分書き出すとよいでしょう。 

作成例は日本FP協会のホームページに掲載されていますので、リンクから該当ページをご参照ください。該当ページからライフイベント表がダウンロードできます。

ライフイベント表に、自分と家族の夢や希望などを書き出してみると色々なことがわかるかと思います。

あるご家庭ではお子さまの進学時期が重なり大きく貯金を取り崩すことがわかるかもしれません。

また、あるご家庭ではお子さまが卒業されて自分たちが老後を迎えるまでに時間と資金的余裕があることがわかるかもしれません。

このように、ライフイベント表を作成することによりそれまで漠然としていたライフイベントの時期やそれにかかる費用が見える化できます。

見える化できたらそれに対しての対策をぜひ実行しましょう。

2.家計の診断

2-1.家計の収支表を作ってみましょう

家計の収支表作成します。項目は6つです。

家計の収支表の項目
  1. 基本生活費
  2. 住居関連費
  3. 車両費
  4. 区教育費
  5. 保険料
  6. その他支出

これらを書き出し家計の収支状況を把握します。

作成例は日本FP協会のホームページに掲載されていますので、リンクから該当ページをご参照ください。該当ページから収支表がダウンロードできます。

2-2.家計のバランスシートを作ってみましょう

家計のバランスシートを作成します。家計のバランスシートとは現在における家計の資産と負債を把握するための表です。

作成例は日本FP協会のホームページに掲載されていますので、リンクから該当ページをご参照ください。該当ページからバランスシートがダウンロードできます。

家計の収支表とバランスシートを作成することで次のことがわかります。

家計の収支表では年間の収入と支出を見える化することができ家計の貯蓄する力がわかります。

また、バランシートから現在における貯蓄額、負債額を見える化することができ、家計の体力がわかります。これら2種類の表を駆使して家計を見直しましょう。

そして、家計の大幅な黒字化を図り、家計貯蓄を増やす体力をつけましょう。

3.つみたてNISAを活用しましょう

3-1.つみたてNISAとは

わが国では2018年1月につみたてNISA制度が始まりました。2018年から2037年の20年間に年額40万円を限度に積み立てることができます。

つみたてNISAは積み立ててから20年間、資産形成商品の分配金と運用益が非課税になる制度です。通常であれば資産形成商品の分配金と運用益には約20%の税金がかかります。

つまり、投資を行った結果、100万円利益が出た場合、約20万円の税金が引かれることになります。それが非課税になるということですので、活用したい制度といえるでしょう。

3-2.つみたてNISA意外なメリットとは

つみたてNISAは非課税であることがメリットとして注目されることが多いです。

しかし、それ以外にも注目すべき点があります。それは、長期分散投資の恩恵を受けることができる点です。

つみたてNISAなどが対象とする資産形成商品は価格が日々変動します。価格が日々変動するというもので1番イメージがしやすいのは日経平均株価だと思います。株をイメージしてください。

株をあるタイミングで売りたいと考えた場合、日々価格が変動しているので、買ったタイミングによって利益が出る可能性もあるし、損になる可能性もあります。

1番理想的なのは価格が安いときに買い、価格が高くなったら売るということですが、こればかりは誰も予想できません。

そこで、重要になる考え方として長期分散投資という考え方があります。

3-3.長期分散投資とは

一般的に長期分散投資を行うと利益や損失の変動の幅を抑えられることが知られています。長期分散投資とはその名の通り、長い期間いろいろな資産に分散して投資をすることです。

我々は経験則からある資産の価格が景気などの影響を受けて上下変動するということを知っています。その上下変動も短期的にみると乱高下することも少なくありません。しかし、長期的にみるとある程度整った形で上下変動することがわかります。

また、ある資産とある資産の関係をみると価格の変動の仕方がおおよそ逆の動きになるといったことがあります。これらを組み合わせて、長期間、価格変動が異なる資産に分散して投資すると変動の幅を抑えることができます。これが長期分散投資の効果です。この効果を利用した商品が投資信託という商品です。

先ほど買ったタイミングによって利益や損になる可能性があるという話をしました。しかし、この長期分散投資を行うことで買うタイミングを考えることなくリスクを軽減して資産形成商品に投資をすることができるようになります。

つみたてNISAについては金融庁のホームページにわかりやすい説明がありますのでご参照ください

参考

4.まとめ

日本は世界がいまだ経験したことのない超高齢社会を迎えています。終身雇用制のもと同じ会社に勤め、退職金をもらい、年金で老後を暮らした時代とは大きく変わってきています。

安定した老後を迎えるために現役世代のうちから老後も含めたライフプランを考えていくことが非常に大切です。そして、考えたライフプランを実行していくことがさらに重要になります。

将来に不安が多い時代だからこそ、不安を見える化し対策を講じることで明るいシニアライフを迎えることができるでしょう。