【FPが解説】独身女性は老後いくら必要?40代からの老後資金の作り方

独身女性老後

老後のことが心配…

価値観・生き方が多様化した今日、男性・女性ともに生涯独身を選択する人も増えています。

しかし、老後を一人で生きていくためのお金の知識については、理解が少ないのが現状です。

特に女性は、一般的に、男性よりも収入が少なく、自分の将来について必要以上に悲観的にとらえている人も少なくありません。

しかし、独身であっても夫婦2人であっても、老後資金の考え方は基本的には同じです。

自分のライフプランに合わせた準備を早いうちから進めていけば、心配しすぎることはありません。

1.独身女性は老後にいくら必要なのか

1-1.必要老後資金

必要老後資金については、いろいろな考え方がありますが、ここでは、フィデリティ退職・投資教育研究所の調査を取り上げます。

同研究所では、退職準備の現状把握のために、正規雇用・非正規雇用、自営業者を含めた勤労者3万人に対するアンケート調査を実施(2014年)しました。

その結果から、退職後の生活に必要な資金の総額は、年齢や性別ではほとんど違いがなく、年収が大きな決定要素になっていることが分かっています。

その理由は、退職後にそれまでの生活水準を引き下げるのは難しいためです。

そして同調査では、退職後の生活必要総額は、「退職直前の年収×目標代替率(※)×退職後生活年数」で計算するのが有効だとしています。

【(※) 退職直前年収に対する、退職後の生活に必要な費用の比率。】日本の場合、目標代替率は約7割とされています。

そのため、例えば退職直前年収が500万円ならば、500万円×70%で毎年350万円が必要という計算です。

もちろん、これにも個人差があるため、FPに相談してライフプランシミュレーションを作成してもらうのも、必要老後資金を把握する一つの方法です。

1-2.受取できる年金

現在の年金受取開始年齢は65歳です。

65歳以降受け取ることのできる年金額は、おおまかに計算することができます。

まず、誕生日の月に、日本年金機構から届く「ねんきん定期便」を確認しましょう。

「これまでの加入実績に応じた年金額」を見ると、(1)老齢基礎年金、(2)老齢厚生年金で構成されています。

(1)老齢基礎年金は、自営業者やフリーランス、会社員ともに受け取ることができる年金です。

(2)老齢厚生年金については、会社員の方のみ受け取ることができます。

注意していただきたいのは、ここに記載されている年金額は、現時点で65歳から受け取ることのできる年金額ということです。

そのため、定年まで働き保険料を納めた場合に、どれくらい年金が増えるかについては、ここからはわかりません。

大まかな計算方法は以下の通りです。

(1)老齢基礎年金の増加額は、以下の計算式で求めます。

老齢基礎年金の増加額

2万円×(60歳―現在の年齢)

現在40歳の場合:
2万円×(60-40)=40万円…①となります。

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間、保険料を納めると、約78万円(2020年現在)の年金を受け取ることができます。

そのため78万円÷40年=約2万円で、保険料を1年間納めると、約2万円老齢基礎年金が増えるということです。

(2)老齢厚生年金の増加額については、以下の計算式で求めます。

老齢厚生年金の増加額

現在から退職までの平均収入×5.481/1,000×(退職年齢-現在の年齢)

現在40歳・年収400万円、退職年齢(60歳)時点の年収500万円と仮定:
→平均年収は450万円
450万円×5.481/1,000×(60-40)=約49万円…②となります。

厚生年金の計算は複雑なので、詳細の説明は省きますが上記の計算で概算の増加額が分かります。

詳しくは、ねんきんネットを利用し、試算してください。

以上をまとめると、65歳から受け取りできる年金額は、『ねんきん定期便』内の「これまでの加入実績に応じた年金額」(1)老齢基礎年金の額+①+(2)老齢厚生年金の額+②で分かるということです。

1-3.退職時点に必要な金額

1-1、1-2を踏まえて退職時点で必要な資金額を計算してみます。

仮に会社員の方が60歳で退職(60歳時点の収入500万円)し、90歳まで生きた場合、老後必要資金は1-1より、350万円×30年=1億500万円…③

次に、1-2より、老齢基礎年金の満額は78万円でした。また、老齢厚生年金については、60歳まで働いた場合の増加額49万円を算出しました。

40歳時点の厚生年金額は32万円とし、32万円+49万円=81万円となります。よって65歳から受取できる公的年金の合計額は、78万円+81万円=159万円

159万円×25年=3,975万円…④

③-④=6,525万円が不足額となり、公的年金だけで老後を生活するのは難しいことが分かります。

以下でこれをどう補っていくかを見ていきます。

2.40代から始められる老後資金の作り方

2-1.収入を増やす

上記の不足額を補うためにできることは、「収入を増やす」、「支出を減らす」、「お金に働いてもらう」の3つしかありません。

確実に簡単にできるのは、「収入を増やす」でしょう。

上記のケースでは、60歳で退職を前提にしていましたが、65歳まで働き、60歳~65歳の5年間の生活費(350万円×5年=1750万円)を稼ぐことができれば、5年間分の資金を取り崩す必要がなくなります。

健康でまだ働けるのであれば、「収入を増やす」ことをまず考えるべきでしょう。

2-2.お金に働いてもらう

次に、「お金に働いてもらう」についてです。65歳以降は、公的年金を毎年159万円受取りできることを1-3で確認しました。

そのため、毎年191万円(350万円-159万円)を自分自身の蓄えから取り崩す必要があるということになります。ここで注目していただきたいのが、お金に働いてもらいながら、毎年191万円を受け取ることができれば、元手となる必要資金が大きく変わるということです。

通常、毎年191万円を65歳から90歳までの25年間受け取るには、191万円×25年=4,775万円が必要と考えます。

しかし、25年間、年利3%でお金を運用しながら、毎年191万円を受け取る場合に必要な金額(元手)は、約3,325万円…⑤となります。

これが「お金に働いてもらう」効果です。

さらに、現在500万円の貯金があると仮定し、40歳から65歳までの25年間、同じく年利3%で運用をすると、25年後、500万円は、1,047万円…⑥に増えるのです。

すると、65歳時点での不足額が、⑤-⑥=2,278万円となりました。

1-3で見た不足額6,526万円は、「収入を増やす」と「お金に働いてもらう」ことを考慮しない場合の数字だったということです。

新たに計算した不足額2,278万円を40歳時点から準備しようと思うと、月に約5万円を積立し、年利3%で運用すれば、65歳までに準備することが可能です。

(※ここでは退職金を考慮していませんが、退職金を受け取ることができる人は、上記の計算式⑤-⑥からさらに退職金見込額を引くことができ、その分積立額が減ることになります。また、60歳から65歳まで働くと、老齢厚生年金の年金受給額も増加しますが、ここでは考慮していません。)

2-3.投資信託、NISAやiDeCoの活用

では、実際年利3%でお金を運用することは可能なのでしょうか。

今回は運用未経験の方でも始めやすい、「投資信託」で運用するケースを確認してみます。

例えば、バランス型と呼ばれる投資信託(株式・債券・不動産などに分散して投資する投資信託)では、過去10年間の実績を見ると、高いもので10%(年利)のリターン(収益)があります。

投資に絶対はありませんが、これまでの実績からある程度判断ができるということ、さらに、2-2で確認したように、投資をしないというリスクのほうが大きいことは理解すべきでしょう。

また、NISAiDeCoという制度を利用すれば、運用で得た収益にかかる税金(通常は約20%)が非課税になったり、掛金が全額所得控除されたりするというメリットがあります。

老後資金の準備のためには、この制度を使わないわけにはいきません。

3.まとめ

ここまで必要老後資金の考え方と、不足額の補い方について説明をしました。

冒頭でも述べましたが、必要老後資金には個人差があるので、上記の考え方は参考にしていただき、FPにご自身のライフプランシミュレーションを作成してもらうことも検討しましょう。

次に、退職金の有無や現在の貯蓄額等を確認し、できるだけ正確な不足額を把握します。

不足額を補うための打ち手は、「収入を増やす」、「お金に働いてもらう」を基本として考えるのが、効率的です。

具体的な打ち手についても、FPに相談することで、アドバイスがもらえます。

40代から準備を進めれば、老後のおひとり様ライフも充実したものになるでしょう。