法定相続人同士の遺産分割協議がまとまらない場合の調停

調停

法定相続人同士の遺産分割協議がまとまらない場合はどうしたらいい?

被相続人が亡くなった場合、その時点で相続人への遺産相続が開始されることになります。

そのため、速やかに相続人全員による「遺産分割協議」を行わなければなりません。

遺言書があれば、その遺言に基づいて協議を行います。

ただ、民法では相続人全員の合意があれば、遺言書通りの分割ではなくても認めてもらえます。

それだけ、遺産分割協議の実施が重要と言うことです。通常、遺言書が無い場合は法定相続分通りに分割することになります。

例えば、被相続人が父親だった場合、母親が遺産の2分の1、子供全員で残りの2分の1を均等に相続します。

ただ、法定相続分通りの分割では納得できない相続人の出ることがあります。

どうしても遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申立てて決着させます

この記事では

「調停の申立方法は?」
「調停の流れは?」
「話し合いの内容は?」
「調停が不調だったら?」

といった疑問を解消するために遺産分割の調停について解説します。

1.家庭裁判所への調停の申立方法

遺産分割調停とは、家庭裁判所を使った遺産分割の解決方法のことです。

手続きとしては、異議のある相続人が他の相続人全員を相手として調停を申立てます

申立ては、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。

調停は以下の流れで行われます。

調停の流れ
  1. 家庭裁判所に調停申立書を提出し、手数料を納付します。
  2. 調停期日に出頭します。
  3. 調停調書が作成されます。
  4. 遺産分割審判が開始されます。

調停申立書が受理され、相手方に送達されると、裁判所から調停を行う期日が指定されます。

一般的に、5回程度は出頭することになります。

期日の間隔は、1か月〜2か月に1回程度になっています。

調停は大体、1年以内に終了していますが、2~3年かかることもあります。

調停がまとまると、「調停調書」が作成されます。

調停調書は債務名義と言って、強制執行もできる効力を持つ文書です。

調停が成立した場合は、調停調書通りの遺産分割をすることが必須となります。

調停でもまとまらない場合は審判に進みます。

2.調停における話し合いの内容

調停では家庭裁判所から選任された調停委員(弁護士または元裁判官)が相続人の間に入って、分割内容を調整します。

調停では全員が一堂に会して話し合うことはありません。

調停委員が申立人と他の相続人に対して個別に事情を聴取したり、双方の要望を確認したりします。

調停室という個室で行われるため、話し合いの内容を相手に知られる心配はありません。

期日を重ねて何回か話し合いを繰返した後、双方に解決案を提示して合意を目指します。

ただ、調停はあくまでも話し合いを前提としています。

法的な拘束力が無いため、必ず決着するとは限りません。

なお、調停における控室は申立人とその他の相続人とで分かれており、顔を合わせることはありません。

ただ、初回と最終回のみ、当事者全員に手続等を説明するため、顔を合わせることがあります。

3.調停がまとまらない場合の遺産分割審判

調停がまとまらない場合は(不調)、調停を取下げない限り自動的に審判手続きが開始されます。

遺産分割審判は調停とは違い、裁判官が職権によって証拠を調べ、遺産分割方法を確定します。

それぞれの相続人に対する相続分の決定を下し、その内容の「審判書」を作成します。

審判書には強制力があり、相続人全員が審判書に従わなければなりません。

なお、遺産分割審判では、原則的に法定相続分通りでの遺産分割の審判を下しています。

その理由は、各案件ごとに審判の内容が変わるようだと「法の安定性」が失われるからです。

秩序の維持を目的に法に則った審判を原則としています。

遺産分割審判では、相続人の合意は要件とはしておらず、合意が無くとも審判が成立します。

その意味では、審判は裁判と同じと言えます。

ちなみに、遺産分割審判の中で和解が成立すると、翻って遺産分割調停が成立したものと見做されます。

その場合は調停調書が作成され、手続きが終了となります。

仮に、遺産分割審判に不服の場合は、高等裁判所へ即時抗告という名の不服を申立てることができます。

しかしながら、そのハードルは非常に高いのが実態です。

単に、審判書の内容に自分の主張が通っていないことだけでは、即時抗告は認められません。

自分の主張を家庭裁判所が認めなかったことの問題点を、具体的に示す必要があります。

例えば、未提出の新証拠などによって、高等裁判所に再審理を求めるなら即時抗告が認められます。

4.調停や審判後の相続手続き

裁判所から発行される遺産分割調停調書や遺産分割審判書があれば、登記手続きが可能です。

相続人全員の印鑑証明書や署名捺印を求められることはありません。

ただし、他の相続人との共有名義となる場合は、自己の相続分のみの相続登記はできません。

また、銀行の払戻し手続においても、遺産分割調停調書・遺産分割審判書で行えます。

5.まとめ

遺産分割協議について解説しました。

本当は、遺産分割協が速やかにまとまれば良いのですが、なかなかそうはいかないでしょう。

遺産分割調停のおおまかな流れは次のようなものでした。

調停の流れ
  1. 家庭裁判所に調停申立書を提出し、手数料を納付します。
  2. 調停期日に出頭します。
  3. 調停調書が作成されます。
  4. 遺産分割審判が開始されます。

遺産分割調停では、家庭裁判所から選任された調停委員(弁護士または元裁判官)が相続人の間に入って、分割内容を調整します。

遺産分割調停でもまとまらなかった場合には遺産分割審判へと移ります。

この記事が遺産分割調停を控えている方のお役に立てれば幸いです。