遺族年金は一家の生計を立てている方が亡くなって残された遺族が年金を受け取るための制度です。
遺族年金には所得税や相続税が課税されません。
そうは言っても「確定申告が必要なのか」「他の家族の扶養者になるときの注意点」など不安なことがあると思います。
この記事ではこれらの不安を少しだけでも解消できるように、遺族年金について解説します。
また、最後に女性の方に向けたお得な情報もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.遺族年金には税金がかからない
遺族年金は一家の家計を支えている方が亡くなった時、遺族に支給される公的年金です。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。
遺族基礎年金は国民年金から支給される年金で、子どもがいることが支給条件となります。
遺族厚生年金は厚生年金から支給される年金で、子どもがいるいないに関わらず受給することができます。
さらに詳しいことはこちらの記事で解説しているのでご覧ください。
遺族年金には所得税や相続税などの税金がかかりません。
支給額がいくらであっても遺族年金は非課税です。
また遺族年金受給者に遺族年金以外の収入があっても、遺族年金に対しては所得税が課されません。
収入が遺族年金のみの場合は確定申告をする必要がありません。
2.遺族年金はなぜ非課税なのか
遺族年金はなぜ非課税なのでしょうか
遺族年金が非課税なのは国民年金法25条と厚生年金法41条2項によって定められています。
第二十五条 租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない。
第四十一条 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金たる保険給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
2 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢厚生年金については、この限りでない。
「給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない」というのがポイントです。
給付には税金がかからないので遺族年金だけでなく障害年金にも課税されません。
「ただし、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない」とあるように、老齢年金には税金がかかります。
法律的には老齢年金が特殊で、老齢年金に対しては課税されるのです。
3.扶養親族に入ると税金や健康保険料が安くなる
遺族年金の受給者が扶養親族に入ると、所得税や住民税が控除されたり、健康保険料が安くなったりすることがあります。
遺族年金は高額を受け取ろうとも非課税となるため、扶養親族に該当する条件の合計所得額には含まれません。
遺族年金の受給者が扶養親族に入ると扶養控除の対象となるので所得税や住民税の節約となります。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
また遺族年金の受給者でも、他の家族に生計を維持されているのであればその家族が加入している健康保険の被扶養者になることができます。
ただし被扶養者となるためには、遺族年金受給者の遺族年金を含むが年間収入が130万円(60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)未満で、被保険者の収入の1/2未満でなければいけないという条件があります。
被扶養者になることができれば、遺族年金の受給者は健康保険料を負担しなくてよくなります。
4.確定申告しなければいけない場合
遺族年金だけが収入源の場合は確定申告をしなくても構いません。
しかし遺族年金以外に収入がある場合には確定申告が必要なので注意してください。
- 給与以外の所得があって、年間38万円を超えた場合
- 年内に仕事を辞めそのまま再就職しないなどといった理由で、会社からの年末調整が行われなかった場合
5.まとめ
遺族年金について解説しました。
遺族年金は非課税で、扶養親族に入ると所得税や住民税が控除されたり、健康保険料が安くなったりしてお得だということがお分りいただけたかと思います。
扶養親族に入る条件は次のようなものでした。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。