相続税はいくらかかるのでしょうか
「遺産分割で揉め事にならないか」
「自分が不利益を被らないか」
「希望通りの相続になるのか」
相続には様々な不安がつきまといます。
その中でも特に大きい問題の一つが「相続税はいくらかかるのか」ということでしょう。
「相続税はいくらかかるのでしょうか」
「相続税率ってどれくらいのものでしょうか」
「相続税の計算方法が知りたいです」
相続税に関する不安にさいなまれている方が、少しでも不安を顕在化したり安心できるように、相続税の計算方法についてわかりやすく解説します。
相続税の計算方法を知ったからといって相続の問題が解決するわけではありませんが、相続税がいくらかかるのかということを把握することで、問題を具体化することができるでしょう。
この記事を読んで相続税の計算方法がわかり、相続に関する不安が少しでも解消されたり具体化されたりしていただければ幸いです。
もくじ
1.相続税の計算方法をわかりやすく説明
相続税の計算方法をわかりやすく説明します。
相続税の計算は大きく分けて次のような手順を踏みます
- 相続人が誰になるのか確定させる
- 正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて課税相続総額を計算する
- 課税遺産総額を法定相続分に分割して相続人ごとの相続税を計算する
- 相続税の総額を実際の相続割合で分けて相続人ごとの相続税額を計算する
1‐1.相続人が誰になるのか確定させる
相続税を計算するにあたって、まずは「相続人が誰になるのか」を洗い出す必要があります。
なぜなら、相続税の基礎控除額は、相続人の数によって変わってくるからです。
被相続人の配偶者は無条件で法定相続人となります。
その上で、配偶者以外の法定相続人が誰なのかを決めるのにルールがあります。
亡くなった被相続人との血縁関係に応じて、法定相続人として選ばれる優先順位があるのです。
配偶者以外の相続人がどのようにして決定されるのか解説します。
1‐1‐1.第一順位は被相続人の直系卑属
被相続人に子どもがいる場合は、優先的に子どもが法定相続人となります。
難しい言葉を使って説明すると、被相続人の直系卑属(子・孫・ひ孫)は第一順位の法定相続人になります。
- 被相続人の配偶者は無条件で法定相続人
- 被相続人に子どもがいる場合、子どもも優先的に法定相続人
1‐1‐2.子どもが亡くなっていたら孫へ代襲相続
被相続人の子どもが亡くなっていたらどうなるのでしょうか
被相続人の子どもが既に亡くなっていた場合、代襲相続が発生します。
第一順位の法定相続人は被相続人の直系卑属(子・孫・ひ孫)ですから、子どもが亡くなっていれば孫へ、孫も亡くなっていればひ孫へ…と掘り下げていきます。
これを代襲相続と言います。
亡くなった被相続人の子どもも亡くなっていたら、孫が法定相続人となります。孫も亡くなっていたら、ひ孫が法定相続人となります。
現実的には、ひ孫まで行くことはなかなか起こりえませんが、ルール上はこのように決めます。
- 被相続人の子どもが亡くなっていたら孫が代襲相続する
1‐1‐3.第二順位は被相続人の直系尊属
被相続人の直系直系卑属全員が既に亡くなっていたり、元々子どもがいなかったらどうなるのでしょうか
第一順位である直系卑属の全員が既にいない場合、第二順位である直系尊属が法定相続人となります。
被相続人の両親のどちらか一方でも生きていれば、被相続人の親が第二順位の法定相続人となるのです。
第一順位と同様に、両親が亡くなっていたら祖父母へ、祖父母も亡くなっていたら曽祖父母へ、という順に代襲相続していきます。
現実的には、祖父母や曽祖父母が代襲相続するというケースは滅多に起こりえません。
- 直系卑属がいない場合、直系尊属が法定相続人になる。
- 被相続人の父母がいない場合、祖父母が代襲相続する。
1‐1‐4.第三順位は被相続人の兄弟姉妹
被相続人の直系尊属も全員既に亡くなっていたらどうなるのでしょうか
第二順位の法定相続人もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が第三順位の法定相続人となります。
Aさんが亡くなって、Aさんには子どもがいない(あるいは既に他界している)、両親・祖父母も既に他界している、という状況で、Aさんの兄弟姉妹が法定相続人となります。
- 直系卑属も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が法定相続人となる
1‐1‐5.兄弟姉妹が亡くなっていたら甥姪に代襲相続
被相続人の兄弟姉妹も既に亡くなっていたらどうなるのでしょうか
被相続人の兄弟姉妹も既に亡くなっている場合、既に亡くなっている兄弟姉妹の子どもである被相続人の甥や姪が代襲相続します。
第三順位は、第一順位や第二順位と違って、甥姪も亡くなっている場合に、さらにその子どもが代襲相続するということはありません。
なぜなら甥姪の子どもは、被相続人から見てあまりにも血縁関係が遠すぎるからです。
- 第三順位の法定相続人が亡くなっている場合、甥姪が代襲相続する
- 甥姪が亡くなっている場合にその子どもが代襲相続することはない
1‐2.正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて課税相続総額を計算する
相続人が何人であるのかを把握できたら、正味の遺産額から基礎控除額を差し引くことを行います。
正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた金額が課税相続総額となります
相続する遺産というのは、必ずしもプラスのものばかりではなくマイナスの遺産もあります。
被相続人に借金がある場合、相続人がその借金を相続することになります。
正味の遺産額というのは、相続した遺産額から債務や葬儀費用などを差し引いた金額のことです。
正味の遺産額が計算されたら、基礎控除額を差し引きます。
基礎控除額は次のように計算します。
3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例えば次のようなケースを考えます。
- 相続人:3人
- 相続財産:1億5300万円
- 債務・葬式費用:500万円
正味の遺産額は、相続財産の1億5300万円から債務・葬式費用の500万円を差し引いた金額である1億4800万円となります。
基礎控除額は4800万円(=3000万円 + 600万円 × 3(法定相続人の数))となります。
正味の遺産総額から基礎控除額を差し引いた値は、1億円(=1億4800万円 − 4800万円)となります。
ということで1億円が課税遺産総額ということになります。
- 正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求める
- 基礎控除額は「3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算する
1‐3.課税遺産総額を法定相続分に分割して相続人ごとの相続税を計算して相続税の総額を求める
課税遺産総額を仮に法定相続分に分割した場合の、相続人ごとの相続税を計算します。
これは相続税計算のために仮に考えることなので実際に法定相続分で分割するかどうかは問題になりません。
相続人ごとの相続税が計算されたらそれらを全て足し合わせて相続税の総額を求めます。
相続人ごとの相続税を計算するときに、相続税率が必要になります。
相続税の税率は次のようになっています。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | - |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
具体的に計算してみましょう。
次のようなケースを考えます。
- 被相続人:父
- 相続人:母と子ども2人
- 相続財産:1億5300万円
- 債務・葬式費用:500万円
課税遺産総額は1億円となります。
法定相続分で分けるとき、このケースでは母の取り分が1/2、子どもの取り分がそれぞれ1/4ずつとなります。
- 母:1億円 × 1/2 = 5000万円
- 子1:1億円 × 1/4 = 2500万円
- 子2:1億円 × 1/4 = 2500万円
この金額に対して相続税率をかけて控除額を引きます。
相続税率と控除額は表を参照して当てはめます。
- 母:5000万円 × 20% − 200万円 = 800万円
- 子1:2500万円 × 15% − 50万円 = 325万円
- 子2:2500万円 × 15% − 50万円 = 325万円
このようにして法定相続分で分割した場合の各相続人にかかる相続税を計算します。
相続税の総額は1450万円(=800万円 + 325万円 + 325万円)となります。
- 課税遺産総額を法定相続分で分けた場合の相続税を計算する
- 各相続人ごとの相続税 = 法定相続分での取り分 × 税率 − 控除額
- 各相続人ごとの相続税を全て対し合わせて相続税の総額を求める
さて、法定相続分の割合はどのようにして決まるのでしょうか。
この場合では、母が1/2で、子どもがそれぞれ1/4でした。
法定相続分がどのようにして決まるのか解説します
1‐3‐1.配偶者と子どもが法定相続人の場合
配偶者と子どもが法定相続人の場合、配偶者が1/2を相続して、残りの1/2を子どもで等分します。
上の例はこれに当てはまります。
子どもの人数が2人だったので残りの1/2を等分してそれぞれ1/4となります。
1‐3‐2.配偶者と親が法定相続人の場合
配偶者と親が法定相続人の場合、配偶者が2/3を相続し、残りの1/3を親で等分します。
例えば、被相続人の両親と配偶者で想像する場合、配偶者が2/3を相続し、残りの1/3を親で等分するのでそれぞれ1/6を相続します。
1‐3‐3.配偶者と兄弟が法定相続人の場合
配偶者と兄弟が法定相続人の場合、配偶者が3/4を相続し、残りの1/4を兄弟で等分します。
例えば、被相続人の兄弟2人と配偶者で想像する場合、配偶者が3/4を相続し、残りの1/3を兄弟2人で等分するのでそれぞれ1/8を相続します。
1‐4.相続税の総額を実際の相続割合で分けて相続人ごとの相続税額を計算する
相続税の総額がわかったところで、実際の相続割合で分けます。
具体的に計算しましょう。
次のようなケースを考えます。
- 被相続人:父
- 相続人:母と子ども2人
- 相続財産:1億5300万円
- 債務・葬式費用:500万円
- 相続割合:母‐50% 子1‐30% 子2‐20%
相続税の総額は1450万円です。
各相続人の相続税額は次のように計算されます。
- 母:1450万円 × 50% = 725万円
- 子1:1450万円 × 30% = 435万円
- 子2:1450万円 × 20% = 290万円
- 相続税の総額を実際の割合で分ける
ちなみに母は配偶者なので配偶者の税額軽減があるため相続税は0円です。
被相続人の配偶者が受け取る遺産額が1億6000万円を下回る場合、配偶者に対しては相続税が課されません。
詳しくはこちらの記事をご覧ください

配偶者の税額軽減について
また相続人である子どもが未成年の場合、特別代理人を選任する必要があったり、未成年控除を受けることができたりします。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

相続人が未成年の場合
2.日本法規情報「相続サポート」プログラム
相続税にまつわることの他、遺産分割での争族など、相続周りの問題・不安はたくさんあります。
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